明日の株式相場に向けて=強気相場の死角、AIプログラムで乱気流

市況
2020年11月10日 17時07分

きょう(10日)の東京株式市場はリスクオンの流れが継続したが、グロース株からバリュー株への資金シフトの動きがみられ、日経平均株価も迷走気味の値運びとなった。結局前日比65円高の2万4905円と6日続伸したものの、朝方は2万5000円大台ラインを楽々突破し440円あまりの上昇をみせていたことを考えれば、その後の株価のしぼみ方も結構なインパクトがあったといえる。日経平均は一時小幅マイナス圏に沈む場面もあったが、そこからは持ち直した。

前日の米国株市場では米医薬品大手ファイザーが開発中の新型コロナワクチンが臨床試験で90%を超える予防の有効性を示したと発表、これを受けて経済正常化が早まるとの思惑が強まり、これまで新型コロナの影響で収益が大きく落ち込んだ銘柄群を中心に投資資金が流入した。買いが入ったというよりは空売りの手仕舞いが一気に進んだというのが実態に近い。そして、この流れはビッグウェーブとなって東京市場にも押し寄せた。ただ、バブル的な相場つきであることは否めず、気迷いムードも底流している。

振り返って11月相場は2日からのスタートとなり、俗に「2日新甫」と言われ、荒れる相場を予感させたが、そこから始まったのは問答無用の上げ相場だった。その原動力となったのは大統領選を前に機械的に積み上げられたショートポジションの買い戻し、いわゆる踏み上げ相場である。しかし、きょうはこれまでとは違う色彩をみせた。

市場関係者によると「ヘッジファンドのロングショート戦略が活発だ。これはAIを使ったプログラミング売買で、2極化相場の特性を生かし、グロース買いのバリュー売り、“在宅関連”買いの“外出関連”売りといったように対極の位置関係にある銘柄をロングとショートで組み合わせ、利益を大きくする手法だ。今朝はその逆転売買が一気に進んだ。全体売買代金が4兆円まで急激に膨らんだのもロングショートの手仕舞いが同時進行した影響によると思われる」(ネット証券マーケットアナリスト)という。これは値動きの激しいマザース市場の銘柄もリンクされている可能性が高く、丸腰の個人投資家はこうしたプログラミング売買に飲まれないように警戒も必要となる。

足もとは踏み上げ相場の宴が一服した感触もある。「(全体株価は)いったんは糸を出し切った凧の状態で、これ以上は上昇気流に乗りたくても乗れないような状況」(国内中堅証券ストラテジスト)という声も聞かれる。それを、象徴するのがオリエンタルランド<4661>の株価だ。きょうのOLCは大幅続伸し、一時1200円を超える上昇で1万7000円大台に乗せ上場来高値を更新した。ワクチン開発への期待が高まったことを背景に、コロナ禍で業績が低迷した銘柄に見直し機運が台頭しているとはいっても、同社株の場合は、創業以来の大赤字にも関わらず、コロナショック前の順風満帆だった昨年10月9日の上場来高値をも更新してしまった。株価は理屈では語り切れないが、モメンタムで買われた相場はどこかで反動も来る。OLCの最高値更新は全体相場が目先の転換点を迎える暗示的な意味合いも感じさせる。

あすのスケジュールでは、10月のマネーストックが朝方取引開始前に日銀から発表される。海外では、中国で「独身の日」に伴うネット通販の大規模商戦が行われる。なお、米国ではベテランズ・デーの休日で債券・外国為替市場が休場となる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2020年11月10日 22時09分

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