来週の相場で注目すべき3つのポイント:GDP速報値(7-9月)、中国経済指標、米半導体エヌビディアの決算
■株式相場見通し
予想レンジ:上限26000-下限25000円
来週の日経平均は、騰勢一服で25000円台を固める動きが見込まれる。11月に入り日経平均は2日から12日にかけての8連騰で2543.75円の上昇幅を記録し、22000円台から29年ぶりの高値となる25000円台まで水準を一気に切り上げた。短期的な過熱感と週末を控えていたことからすると、13日の一服は許容範囲だろう。米国市場でも、バイデン氏の「勝利宣言」に加え、米製薬大手ファイザーが進めるワクチン開発の良好な結果が発表された9日にNYダウは一時29,933.83ドルと3万ドルの大台に肉薄したが、その後やや伸び悩んだ。新型コロナの新規感染者数の再拡大は欧米だけでなく国内でも顕著となってきており、経済に与える影響を警戒する動きも強まっている。
ただ、日経平均がスピード調整となっても相場全体が一気にリスクオフとなる状況ではなさそうだ。日経平均も東証株価指数(TOPIX)も騰落レシオ(25日ベース)は13日の時点で90%前後とともに「買われすぎ」を示す120%からは遠い水準にとどまっている。また需給面でも、東証が12日に発表した11月第1週(2-6日)の投資部門別売買動向によれば、海外投資家は現物株で3493億円の買い越しに転じ、現物株と先物の合算では1兆円規模の買い越しにまで転じてきている。第2週も膨らんでいることは濃厚で、クリスマスラリーと年末高に向けた期待が残っている。
さらに、主要企業の4-9月期決算発表も13日で一巡したが、業績予想を上方修正する企業が多かったことなども株価下支え要因となっている。翌週に3連休を控えた11月第3週(16日-20日)の日経平均は、新型コロナの感染者数動向などを睨みながら踊り場を形成していくことが予想される。
■為替市場見通し
来週のドル・円は上げ渋りか。米国における新型コロナウイルスの感染再拡大を警戒して、リスク選好的なドル買い・円売りが大きく広がる可能性は低いと予想される。11月3日に行われた米大統領選でバイデン民主党候補は過半数を超える選挙人を獲得したと報じられているが、共和党のトランプ氏はまだ敗北を認めていない。一方、市場参加者の多くは民主党政権への移行を織り込みつつあり、リスク回避的な取引も縮小しつつあるようだ。
米国内での新型コロナウイルスの感染再拡大が次のテーマとなり、カリフォルニアやミネソタなど複数の州でウイルス感染による入院患者の急増により医療体制がひっ迫し、新たな制限措置が発動されている。実用化が待たれるワクチンの開発のさらなる進展が確認されない場合、リスク回避的な取引が再び活発となり、ドル・円相場はもみ合いか、やや円高方向に振れる可能性があろう。
他方、欧州中央銀行(ECB)は12月開催の理事会でパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の拡大など、一段の追加緩和に踏み切る公算。また、豪準備銀行など他の主要中央銀行も緩和的な金融政策を堅持しており、欧州やオセアニア通貨との比較でドルが選好されてもおかしくない状況となりそうだ。
■来週の注目スケジュール
11月16日(月):日・GDP速報値(7-9月)、中・鉱工業生産指数/小売売上高(10月)、米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(11月)など
11月17日(火):米・小売売上高(10月)、米・鉱工業生産指数(10月)など
11月18日(水):日・貿易収支(10月)、米・住宅着工件数(10月)、米・決算発表:エヌビディアなど
11月19日(木):日・アララが東証マザーズに新規上場、米・フィラデルフィア連銀製造業景況指数(11月)など
11月20日(金):日・製造業PMI(11月)、G20財務相会議など
《YN》