明日の株式相場に向けて=“4倍返し”の上げ、「29年ぶり」コースに復帰

市況
2020年11月16日 17時00分

週明け16日の東京株式市場は大きく買い優勢に傾き、日経平均株価は前週末比521円高の2万5906円と急反発した。前週末13日にようやく9営業日ぶりに反落したものの、下げ幅はお湿り程度の130円あまりにとどまっている。きょうはザックリその“4倍返し”の上げでいかに上値指向が強いかを証明する格好となった。また、29年ぶりの高値更新というフレーズが繰り返されるエリアに入ってきた。当然ながら反動も警戒されるが、それを見込んでショートポジションを積み上げると根こそぎ踏まされるというのが、今年の春先以降のコロナショック・リバウンド相場であった。

11月相場でこれほどまで日経平均が噴き上げることを事前に予想した市場関係者は皆無だったはず。下に振らされるという声の方がむしろ多かった。振り返って、10月の最終週、26日から30日まで5日続落した相場環境とは別世界だが、何が変わったかといえば大統領選を通過したことくらいだ。

その大統領選も投開票後にもめた。これもトランプ大統領が一人で籠城しているわけではなく、その後ろには7000万票を超える支持者がいる。郵便投票に不正があったとしても、ここまでくれば結果が覆る可能性は極めて低く、バイデン陣営にすれば「勝てば官軍」という状況にある。米国の分断は今後に火種を残すが、今の過剰流動性相場はそれをも飲み込んでしまう。

新型コロナの感染者数に敏感だった相場はどこへ行ってしまったのか。米ファイザーのワクチンの臨床結果が良かったことが開発への期待感を盛り上げ、それを背景に経済活動の正常化が早まるとの思惑が浮上し、そうであれば景気敏感株は今が買い時、という3段重ねの論理は普通に考えれば、一笑に付されるくらい“こじつけ”度合いが強い。しかし、これまでグロース買い・バリュー売りのシステム売買に偏向し過ぎていた部分も否めず、その反動と捉えれば、解釈がどうあれ今はその物色の流れが続くことにも違和感はない。ただし、利益成長が見込まれなければ、基本的に株価は右肩上がりの中期トレンドも形成しにくい。その意味でバリュー株の水準訂正相場とはほどほどに付き合って、静かにグロース株の押し目に着目しておくというのも、年末相場を見込んだ立派な投資戦略である。

決算発表シーズンが終了し、今週は米中を中心にマクロの経済指標が相次ぐ。もっとも、良くても悪くても相場にとって身構えるほどの影響はなさそうだ。今はマザーズ市場などをみても分かるように中小型株には資金が回りにくくなっている。ここは焦らずに、いずれ流れが来た時に地合いの変化を横目にしたたかに乗っていくというスタンスでよいだろう。

個別では「脱炭素社会」への取り組みを底流にEV向け2次電池関連で日本ガイシ<5333>やニチコン<6996>、日本ケミコン<6997>などに目を配っておきたい。また中国でGショックが売れているカシオ計算機<6952>、年末商戦を前に押し目待ちに押し目なし状態にあるソニー<6758>、好調な米国の住宅市況を背景に住友林業<1911>なども買いにくいところではあるが注目しておく価値はありそうだ。

あすのスケジュールでは、海外で10月の米小売売上高、10月の米鉱工業生産・設備稼働率。11月のNAHB住宅市場指数など。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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