窪田朋一郎氏【日経平均上昇加速が語るもの、ここからの展望は】(2) <相場観特集>
―異色の8連騰後一服も、再び急発進した全体相場のナゼ―
東京株式市場の強調展開が際立っている。前週末こそ目先スピード調整の動きが出て日経平均株価は9日ぶりに反落となったが、下げ幅はわずか130円あまりにとどまった。きょうは大きく買い直される形となり、500円を超える上昇とリスクオン相場はとどまるところを知らない。いよいよ11月相場も後半に向かうが、今の相場に死角はないのか。追撃かそれとも反動安に身構えるべきか投資家も判断が難しい局面ではある。的確な読みで投資家からの信頼も厚い市場関係者2人に今後の見通しを聞いた。
●「強気相場継続も米長期金利の動向注視」
窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)
日経平均は上値指向の強い展開が続いている。ここにきて景気敏感セクターのバリュー株に物色の矛先が向いており、この強気の地合いが12月前半にかけて続く可能性が高いとみている。新型コロナウイルスの感染拡大に対する警戒感は、今後冬場を迎えるなかで一段と高まりそうだが、ワクチン開発期待が相場の支えとなり日米ともに上昇トレンドに変化はなさそうだ。
企業の決算発表シーズンを通過したが、4-6月期を底として総じて7-9月期の回復基調が確認されたことで市場のセンチメントは強い。ただ、波乱要因として米長期金利の動向に注目しておく必要はあるだろう。景気や企業業績の回復を背景に米国では10年債利回りが上昇傾向を強めており、直近0.9%台まで水準を切り上げた。これが1%ラインを上回ってくるようだと、グロース株には逆風として意識されやすく、全体指数の押し下げ要因となり得るだけに注意しておきたい。日経平均の向こう1ヵ月のレンジは下値2万4500円から上値は2万7200円のゾーンを想定している。
物色対象は年前半のグロース買い・バリュー売りの反動で、グロース株の一角が利食われる一方、バリュー株を買い戻す動きが断続的に観測されるようになった。米国の金利上昇はこの流れを後押しする可能性もある。そのなか、米長期金利上昇の恩恵を受けるメガバンクや大手生保などの金融セクターは投資対象として相対的に有利とみられる。また、国内の景気回復期待が高まれば、大手不動産株なども見直し買いの動きが改めて顕在化しそうだ。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)
松井証券へ入社後、マーケティング部を経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。
株探ニュース