明日の株式相場に向けて=師走相場の急所を見極める週に

市況
2020年11月30日 17時07分

きょう(30日)の東京株式市場は利益確定売り圧力が高まり、日経平均株価が211円安の2万6433円と5日ぶりに反落した。

11月の日経平均は、“荒れる2日新甫”というアノマリーとは真逆の展開で驚異的な上昇波を形成した。その11月相場が終わり、明日からいよいよ師走相場突入となる。2020年も最終コーナーを回り、最後の直線勝負という趣きとなるが果たしてどうなるか。過去20年を振り返って、11月の最終営業日を含む週の日経平均が週間で下落したことは、わずかに1回のみ。つまり今週は、2000年以降95%の確率で上昇する週ということになる。もっとも、これはバックミラーに映る過ぎ去った景色に過ぎず、結果はもちろん金曜日の取引終了まで分からない。

きょうは前週末の欧米株市場が高かったうえ、中間配当の再投資による資金流入などが指摘されるなか、取引開始前は強気ムードが優勢。案の定、寄り付きの日経平均は185円高でスタートした。記録的な月間上昇パフォーマンスを最後まで演じ切って、リスクオンで着地するかと思われたが、残念ながらほぼ寄り天(寄り付きの値段がその日の高値)で、その後は上値が重く、後場は利益確定の売り圧力が顕在化した。米株価指数先物の下落を横目に、アジア株も軟調に推移していたほか、外国為替市場でもドル安・円高に振れていたことから、主力どころはとりあえずポジションを高めにくい局面となった。しかし、これに代わってマザーズ市場が強さを発揮し3日続伸、25日移動平均線を久しぶりに上回った。主力がだめなら今度は小型株でという、とにかく「何かしら買いたくて仕方がない相場」(中堅証券アナリスト)が続いている。とはいえ、「何を買っても上がる相場」ではない。師走相場の急所はどこになるのか、今週はそれを見極める週と言えるかもしれない。

マーケットではバイデン新政権の閣僚人事が徐々に見えてきたことを株価のリスク選好要因に挙げる市場関係者も多い。しかし、これについては、メディア報道先行で現地の実態を100%つかみ切れておらず、言い換えれば”バイデン次期大統領”はまだ本決まりではなく波乱要因は残されていると思われる。以前当欄で、仮に選挙に不正があったとしても政治は「勝てば官軍」であるとしたが、とりあえず12月14日の選挙人投票のスケジュールを通過しないことには、バイデン政権ありきで株式市場を考えないことが肝要だ。

きょうはMSCIの銘柄リバランスが大規模に行われたこともあって、全体売買代金は4兆7000億円台まで大きく膨らんだ。市場関係者によると「5銘柄を採用して20銘柄あまりを外すことで、マーケット的には資金流出デメリットが意識されやすい」(準大手証券ストラテジスト)という。もっとも、足もとで採用銘柄の株価が上昇していたということでもなかった。

個別では、東京ドーム<9681>のホワイトナイトとして脚光を浴びた三井不動産<8801>の影響もあって、きょうは安かったものの不動産の一角は引き続き思惑が募りやすい。国策に掲げられた国際金融都市の話も絡むだけに、証券株と不動産株には意外性がありそうだ。兜町の大家である平和不動産<8803>の強いチャートが目につくのは偶然とはいえないだろう。このほか、不動産株で強い足をみせる新日本建物<8893>をマークしておきたい。

また5G関連だけでなく、更に次世代の6Gがテーマ性を帯びるなか、5G関連で相場を出した中小型株にも新たな活力が生まれやすい。大泉製作所<6618>や山王<3441>などの足の軽さは魅力であり押し目に着目したい。

あすのスケジュールでは、10月の有効求人倍率、10月の失業率、7~9月の法人企業統計など。海外では11月の中国製造業PMI(財新)、11月のユーロ圏消費者物価指数のほか、11月の米ISM製造業景況感指数など。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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