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カドカワ Research Memo(8):2023年3月期に営業利益160億円を目指す(2)

特集
2020年12月8日 15時48分

■中期経営方針

(6) 所沢プロジェクトの投資回収計画と利益改善効果

KADOKAWA<9468>は所沢プロジェクトの一部として、2020年8月に新オフィスを、同年11月に新規事業拠点をオープンした。所沢プロジェクトの投資総額については当初想定の399億円から395億円と若干減額となる見通しだが、コロナ禍の影響でデジタル製造・物流工場の稼働のタイミングが遅れることから、投資回収期間(2021年3月期下期を起点とした場合)については当初計画の9.9年から11.6年とやや延びる見通しとなっている。

また、本格稼働の開始前提を2024年3月期とした場合、2033年3月期までの10年間で得られる累積EBITDAは、デジタル製造・物流工場で283億円、新規事業で76億円、オフィス経済効果/AWB推進効果で103億円と試算している。このうち、出版書籍事業におけるデジタル製造・物流工場の稼働による営業利益への影響額については、減価償却費が先行する2021年3月期で200百万円のマイナス、2022年3月期で400百万円のマイナス要因となるが、フル稼働時の2025年3月期には1,100百万円のプラス要因になると見ている(減価償却費は2021年3月期で700百万円、以降は1,400百万円で想定)。このため出版書籍事業の収益性については、遅くとも2025年3月期以降に一段の向上が期待できることになる。

(7) 経営判断の迅速化を目的に組織体制を変更

各事業における権限移譲による経営判断スピードの迅速化を図るため、組織体制を2020年10月に大きく変更した。具体的には、副社長・専務・常務を廃して、執行役員に統合したほか、本部制を廃止してミッション別グループに全社・全組織を再編し、新設するCO(チーフオフィサー)が管掌する体制とした。また、製造物流、営業宣伝、ライツ、海外を戦略組織として独立グループ化している。組織体制を6つの事業グループと7つの機能グループに細分化し、COを配置することで、今後の成長加速に向けたスピーディーな事業展開が期待される。

■SDGsの取り組みについて

同社ではSDGsを意識した経営にも取り組んでいる。SDGsとは、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略で、持続可能な社会を実現していくために必要となる17の開発目標を設定、2015年の国連サミットで採択されたものとなる。テーマは貧困問題や健康、教育、エネルギー、環境など多岐にわたっており、SDGsに取り組むことは、同社の経営理念である「不易流行」とも合致している。

同社においては、持続可能性に配慮した既存事業での取り組みとして、製造・物流改革による紙資源消費の抑制(→廃棄物の削減、森林・水資源の消費削減)、オンラインで学べるN高等学校等の取組拡大(→教育機会の提供、貧困の連鎖の排除)を挙げている。また、新たな取り組みとしては、女性・海外出身者の役員への登用(→女性のリーダーシップ、機会均等の確保)のほか、所沢新オフィス+文化施設「ところざわサクラタウン」の開設(多様な働き方、地域経済や自然環境への配慮)等が挙げられる。なお、同社では2021年3月期中に重点課題と達成すべき具体的目標を設定し、推進していく予定にしている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《EY》

提供:フィスコ

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