来週の相場で注目すべき3つのポイント:国内IPOラッシュ2週目、米追加経済対策の行方、米耐久財受注(11月)

市況
2020年12月19日 17時28分

■株式相場見通し

予想レンジ:上限27000-下限26500円

来週の日経平均は1991年4月以来29年ぶりとなる27000円台挑戦が期待される。国内では17日、新型コロナ新規感染者数が全国で3200人超と過去最多を更新したほか、海外ではマクロン仏大統領が感染するなど、感染拡大による経済停滞への懸念は強まっている。また、為替相場の円高や英国と欧州連合(EU)の通商交渉の停滞などへの警戒感もある。こうしたなかでも、12月第3週の日経平均は上限26800円台、下限26600円台の狭いレンジでのもみ合いに終始している。12月に入り26800円台の壁が意識されているものの、日経平均は12月のメジャーSQ値(先物・オプション特別清算指数)26713.47円をおおむね上回って推移し、下値の堅さも強く意識されている。売り仕掛け的な動きは限られてきそうだ。

FDAによるモデルナのワクチン承認、国内ではファイザーのワクチン承認と、ワクチン接種に向けたスケジュールも具体的に進展している。日経平均は新型コロナの感染拡大や為替の円高に対して大きな下振れを起こすことなく「打たれ強さ」が強まっている。

米国市場は、18日のSQ通過及び21日にテスラがS&P500種株価指数の構成銘柄に新規採用されることで、需給面では大きなイベントを通過する。そして、年内に9000億ドル規模の米追加経済対策が上下両院で可決される可能性が高まっており、これが実現すると日経平均は27000円台乗せに挑戦する動きが期待される。日経平均が26000円台でこう着感を強めるなか、バリュー(割安)、グロースに偏らない循環物色が展開され始め、当面はこれが継続することになりそうだ。

■為替市場見通し

来週のドル・円は弱含みか。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融緩和政策は長期化するとの思惑から、リスク選好的なドル買いは引き続き抑制されそうだ。FRBは15-16日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の据え置きを決定したが、資産買入れ規模は変更しなかった。ただ、2023年まで実質ゼロ金利政策維持の方針を改めて示したことから、金利先高観は後退しており、ドルは買いづらい見通し。

米国での新型コロナウイルスのまん延は深刻化し、感染状況を見極める展開でもある。1日の感染者数は増加傾向にあることから、大都市での制限措置が強化されている。経済活動縮小への懸念が高まり、投資家心理を圧迫する場面もあろう。ただ、ファイザー製ワクチンの接種は開始されており、モデルナが開発中のワクチンも緊急使用が認可されたことから、リスクオフのムードを弱める材料になりそうだ。

一方、米国議会超党派グループが提案する9000億ドル規模の追加経済対策について、失業者対策を中心に与野党協議の進展が期待されている。しかしながら、つなぎ予算を2日間延長する法案が上院で可決された場合でも、議会指導部が合意に達する保証はない。追加経済対策法案の年内成立については予断を許さない状況が続いており、リスク選好的なドル買い・円売りがただちに拡大する可能性は低いとみられる。

■来週の注目スケジュール

12月21日(月):日・ポピンズホールディングスが東証1部に新規上場、日・いつもが東証マザーズに新規上場、欧・欧州医薬品庁(EMA)のヒト用医薬品委員会(CHMP)が米ファイザーと独ビオンテックの新型コロナワクチン巡り会合など

12月22日(火):日・工作機械受注(11月)、ウェルスナビ/Kaizen Platform/ヤプリが東証マザーズに新規上場、米・GDP確定値(7-9月)、米・消費者信頼感指数(12月)など

12月23日(水):日・景気先行CI指数(10月)、交換できるくん/ENECHANGEが東証マザーズに新規上場、米・個人所得(11月)/個人消費支出(11月)、米・耐久財受注(11月)、米・ミシガン大学消費者マインド指数(12月)など

12月24日(木):日・東京通信が東証マザーズに新規上場、新型コロナ感染症対応の金融支援特別オペ(日本銀行)、欧・欧州中央銀行(ECB)経済報告など

12月25日(金):日・小売売上高(11月)、日・ファンペップが東証マザーズに新規上場、東和ハイシステムが東証ジャスダックに新規上場など

《YN》

提供:フィスコ

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