来週の株式相場に向けて=年内取引は残り3日、「掉尾の一振」はあるか
今年も押し迫り、年内の取引は残すところ30日までの3営業日となった。新型コロナウイルスの感染拡大という、予期もしなかった「パンデミック(世界的大流行)」に襲われた1年だったが、2万6600円前後の足もとの水準が維持されれば日経平均株価は昨年末の終値(2万3656円)から12%強上昇し、1991年以来、29年ぶりの高値水準で終えることになる。3月には1万6300円台まで急落する場面もあったことを考慮すれば、コロナ禍とは裏腹に株式市場からみれば良好な1年として幕が引かれそうだ。
例年、この時期になると語られるのが、年末の大納会に向け株価が上昇する「掉尾の一振」だ。果たして、今年はどうか。ちなみに昨年は12月20日から年末まで0.6%ほど下落している。掉尾の一振はともかくとしても「終り良ければ全て良し」ということだろう。
新年の21年は「丑年」。相場格言では「つまずく」だが、1949年(昭和24年)のドッジ・デフレ、73年(同48年)のオイルショック、97年(平成9年)のアジア金融危機など丑年は波乱の出来事も少なくなく、事件が起きた年は後半に下値を探る値動きとなっている。20年は「繁栄」の子年だったが、新年の丑年は足もとを確かめながら、一歩一歩着実に前に進むことが求められる年となるのかもしれない。
年末年始のスケジュール面では、来週は28日に11月鉱工業生産が発表されるほか、「GoToトラベル」が1月11日まで全国で一斉に一時停止される。12月末に権利確定日を迎える銘柄の権利付き最終日となる。J.フロント リテイリング<3086>やしまむら<8227>が決算発表を行う。英国やオーストラリア、ニュージーランドなどが休場となる。29日はスギホールディングス<7649>が決算を行う。LINE<3938>が上場廃止となる。30日は大納会。31日は中国で12月製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表される。1月1日は日本や米国、英国など多くの市場が休場。3~4日にかけてはOPECプラスの閣僚会合が開催される。来週の日経平均株価の予想レンジは2万6500~2万6900円。(岡里英幸)