【植木靖男の相場展望】 ─ 2020年最後の週は分岐点となるか
「2020年最後の週は分岐点となるか」
●突破なるか2万7000円の壁
2020年を振り返ると、新型コロナウイルスに振り回された1年であったことは誰しも疑いようがない。ウイルスも生命を持ち、人類との戦いに挑んでいる。ウイルスも生きながらえるために姿を変え、人類が予防策を強化するたびに自らを強化して戦っている。であれば、そう容易に収束するわけがないと筆者はみる。
ところで、日経平均株価は引き続き高値もみ合いが続いている。11月26日以降、わずか400円という狭いレンジの中で21日間という長きにわたっての推移だ。昔から“株屋殺すには刃物はいらぬ。株価が3日も動かなければいい”といわれるが、まさにその通りである。
さて、このもみ合いをさらに精査すると、この期間で2万6800円以上をザラバでつけたのは実に13日もある。だが、2万7000円をつけたのはザラバといえども一度もないのだ。
つまり、2万7000円が上値の大きな壁になっていることに気づく。であれば、この壁を取っ払えば3万円に向けてひた走りとなるシナリオが浮上する。逆に、この壁が突破できなければ投資家に失望感が芽生え、2000~3000円の下落もあると覚悟せざるを得ないのではないか。
その意味で20年最後の週は立会日数わずか3日間に過ぎないが、どちらかに方向性をみせる丁か半かの大博打たり得る日々となりそうだ。市場ではこうした際、とかく材料を探索することに熱を上げるが、これはあまり意味がない。投資家にとって考え得る材料はすでに株価に織り込まれているからだ。もし、材料で決定的な流れを形成するとすれば、それは予想外の突発材料でしかない。しかし、それを予想するのは人知を超えている。とすれば、結局、相場の持つ引力に頼るしかないのだ。
●新年の株価を押し上げる推進力
ところで、いますぐという材料ではないが、気にとめていたい材料として通貨問題がある。いま、先進国の通貨は対コロナで際限なく膨らむ。つまり、通貨の価値が下落しているのである。そうであれば、貨幣数量説に従ってモノの値段が上昇するのが当然である。しかし、そうした現象はみられない。コロナが容易に収束しないとすれば、なによりも命が大切であるから、コロナ対策として通貨発行意欲は高まるばかりだ。
すでにわが国の家計の現預金は1000兆円を超えている。消費は抑えられているからでもあるが、やがてこの1000兆円は株式市場に流入する。すでにその兆候は見られるが、これが来る新年の株価を押し上げる推進力となることは疑う余地がないといえよう。
景気が回復しても、どこの国の政府もコロナに脅えて金融を引き締める度胸はないであろう。結果、いよいよバブル相場が始まる。1989年の大天井3万8915円が視野に入ってくるはずだ。
さて、将来はともかく、当面の物色の流れはどうか。いまから判断はできないが、仮に2万7000円を突破するような好転があれば、その時点での上昇銘柄を追いかけるのがベターであることはいうまでもない。いま、種があっても芽が生まれ大きく育つかどうかはなんとも言いがたい。育つ前に種が腐ったりするケースもあり、仮に少し育っても害虫に食われてしまうケースが多々ある。
種から育ちつつある幼木をみると、まずドローンの銘柄から自律制御システム研究所 <6232> [東証M]だ。将来性はありそうだ。
国土づくりを支える建設コンサルタントの建設技術研究所 <9621> にも注目したい。
2020年12月25日 記
株探ニュース