明日の株式相場に向けて=メガバンク活況高が映す強気相場

市況
2021年1月7日 16時59分

きょう(7日)の東京株式市場は大きくリスクオンに傾き、日経平均株価が434円高の2万7490円と大幅高。昨年大納会から数えて5日ぶり、満を持しての急反発となった。

大接戦となった米ジョージア州の上院決選投票は民主党候補が2議席とも獲得し、大統領と上下院を民主党で占める“トリプルブルー”が実現した。“ねじれ議会”をマーケットは望むという見方が強かっただけに、影響はネガティブ方向に出る可能性も十分にあったが、結局は「政治的な不透明要因が払拭されたということが重要であって結果はどちらに転んでも買い」(中堅証券ストラテジスト)という見立てが正しかったようだ。

大型の財政出動を伴う景気刺激策が通りやすくなるという思惑は、目先的には株式市場にプラスに働く。「差し当たって給付金2000ドルへの引き上げが復活することに民主党支持者は期待している」(生保系エコノミスト)という。たかが2000ドル、されど2000ドル、前にも取り上げた「さるかに合戦」の話ではないが、目の前にあるおにぎりに期待してしまうのが人間の性(さが)というものかもしれない。

そして過剰流動性に支えられた相場においては、法人増税や富裕層増税、金融規制の強化といったネガティブ材料はまだ先の話だから足もとの売り材料にはならないという、いいとこ取り解釈が成り立つ。10カ月ぶりとなる米長期金利の1%台乗せも、俗に言う“悪い金利の上昇”で本来なら要警戒材料となるところだが、運用利ザヤの拡大期待から日米ともに大手金融株に買いが集まり株価を押し上げる形となったのは、今の市場のセンチメントを代弁している。きょうは三井住友フィナンシャルグループ<8316>と三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>のメガバンク2社が売買代金ランキングの2位と4位にランクインするなど、最近では滅多にない活況商いを演じた。

米国の首都ワシントンでトランプ大統領支持者が暴徒化し未曽有の騒ぎとなっていることや、国内では東京都で新たに2400人を超える新型コロナ感染者が確認されても、「これは社会不安を煽っても、経済不安ではない。したがって株は下がらない」(前出のエコノミスト)という指摘がある。トリプルブルーはハイテク株には逆風とみられているが、きょうのレーザーテック<6920>や東京エレクトロン<8035>など半導体関連株の買われ方をみると、これもそれほど強い向かい風とはいえないようだ。

中小型株は、太陽光発電を中心とする再生可能エネルギー関連株に人気が集中している感が強い。昨年11月下旬に注目した日創プロニティ<3440>だったが、ここにきて需給相場の様相を強め、きょうは値幅制限上限の300円高で1300円台まで水準を切り上げる場面があった。後半はさすがに疲れて失速したが、ストップ高水準でもPERは16倍弱でPBRも0.9倍弱に過ぎない。元来、業態が地味なこともあって相当な割安圏に放置されていた銘柄だが、脱炭素というグローバルテーマによって一躍スポットライトを浴びた。同じことは電気工事会社にも言えることで、ETSホールディングス<1789>の物色人気はその典型。相対的に割安なユアテック<1934>も引き続き監視しておくところ。クリーンエネルギーでは水素が燃料電池車との絡みもあって注目されているが、水素容器開発に先駆する中国工業<5974>もいい動きをみせておりマークしておきたい。

また、電気自動車(EV)関連の一角である三光合成<7888>が動意含みだ。バンパーをはじめとする自動車向け樹脂部品を手掛けるが、内燃機関を持たないEVと樹脂部品の相性は良い。EVシフトの流れにしたがって同社製品に対する需要が拡大する公算が大きい。

緊急事態宣言の再発令を受けて巣ごもり関連も改めて注目される。そうしたなか、オンライン英会話を展開するレアジョブ<6096>は、昨年12月2日の戻り高値を朝方に上抜く場面があった。eコマース市場の拡大で米アマゾンを最大客とする物流会社ファイズホールディングス<9325>や板は薄いが遠州トラック<9057>といった銘柄も、在宅消費の恩恵を受けやすく、改めて存在感を高める可能性がある。

あすのスケジュールでは、20年11月の景気動向指数(速報値)、11月の家計調査、12月の輸入車販売など。海外では12月の米雇用統計が注目される。このほか、11月の米卸売在庫・売上高、11月の米消費者信用残高、11月のユーロ圏失業率など。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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