米国株式市場見通し:バイデン新政権の大規模財政支援に期待
民主党主導の政権・議会で、追加経済対策やインフラが一段と拡大され短期的に成長を押し上げるとの期待を背景に株式相場は引き続き堅調に推移しそうだ。バイデン次期大統領は来週、数兆ドル規模の経済対策を策定する計画で内容にも注目したい。当初、ブルーウェーブのシナリオとして警戒されていた増税や規制強化を含む極端な政策は、新型コロナウイルスパンデミックスが収束し景気が回復するまで持ち越されるとの期待感もあるようだ。
さらに、莫大な財政拡大により米国債相場が長期的な上昇サイクルから下落サイクルに転じるとの見通しを基に、債券市場から株式市場に投資資金が流入すると考えられ、さらなる上昇要因となりそうだ。全米各地で新型コロナウイルス感染件数が急増し、新たな外出規制強化が景気見通しのリスクとなっているが、多くのFRB高官は資産購入の縮小にはかなりの時間を要すると慎重な姿勢を維持している。また、本年のFOMCメンバーはよりハト派に傾斜することもあり、FRBは長期にわたりゼロ金利や現行ペースでの資産購入を継続する可能性が強いことも買い安心感に繋がりそうだ。
バイデン新政権に向け、インフラ拡大期待を背景にキャタピラーなどの工業関連株のほか再生エネルギー関連株に注目が集まりそうだ。さらに、金利上昇で銀行株に期待が集まる一方で住宅関連の上昇は一段落する見込み。
経済指標では、11月JOLT求人件数(12日)、12月消費者物価指数(CPI)(13日)、新規失業保険申請件数(14日)、12月生産者物価指数(PPI)、1月ニューヨーク連銀製造業景気指数、12月小売売上高、12月鉱工業生産、1月ミシガン大消費者信頼感指数(15日)などが予定されている。そのほかFRBは13日に、米地区連銀経済報告(ベージュブック)の公表を予定している。この結果は今年初めて開催されるFOMCでの政策決定の参考材料となる。また、米国経済をけん引する消費動向を見極める上で小売売上高にも注目したい。規制強化が影響し労働市場への不安から消費が滞り3カ月連続のマイナスが予想されている。FRBの長期にわたる金融緩和を維持する方針が正当化される見通しで株式相場をさらに支えることになるだろう。
企業決算では住宅建設会社のKBホーム、スーパーマーケットのアルバートソン(12日)、航空会社のデルタ(14日)、銀行のJPモルガン、シティグループ、ウェルズファーゴ(15日)などが予定されている。銀行のJPモルガン、シティグループ、ウェルズファーゴなどは、相場のボラティリティが高かったため、各行好調なトレーディング収入が全体の収益を支える見通し。また、利回りが底打ちする中、見通しの改善に期待したい。KBホームは低金利、強い需要が奏功し良好な決算が期待される。一方で、デルタ航空は新型コロナウイルス第3波による規制強化が響き、依然損失が継続する見通しだ。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》