【杉村富生の短期相場観測】 ─ なぜ、日経平均株価、NYダウが7割強も急騰したのか
「なぜ、日経平均株価、NYダウが7割強も急騰したのか」
●マスコミのネガティブな報道に惑わされるな!
株式市場(ウォール・ストリート)は絶好調である。NYダウ平均は連日の史上最高値更新だし、7日はナスダック指数が史上最高値を更新した。 日経平均株価は昨年来の高値(8日)だ。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)は収束の兆しがみえず、菅政権は首都圏1都3県に緊急事態宣言を発令したが、株価的には「関係ない」といった状況にある。
まあ、「不謹慎」との声はあろうが、マーケットには「災害に売りなし」とか、「砲撃が始まったら買え」などの格言がある。最近は「ロックダウンは買い」、さらには「緊急事態宣言の発令は買い」という。実際、昨年4月7日(当時の安倍政権による初の緊急事態宣言)がそうだったではないか。
もちろん、7日の新型コロナウイルスの感染者数(東京都)は2447人と過去最高を記録、危機的な状態には変わりがない。医療関係者の苦悩、飲食業、観光業の人達の苦境は察するに余りある。そう、メインストリートは厳しい。しかし、兜町の常識は世間の非常識という。
そもそも、相場は天邪鬼(あまのじゃく)だ。一般的な見方は通用しない。マスコミは「大変だッ」「大変だッ」と騒いでいるが、マーケットは全く違う反応を示している。現実に、昨年3月安値~直近高値(ザラバベース)をみると、日経平均が71.6%、NYダウが71.3%の急騰劇を演じている。
メインストリートのネガティブな情報に惑わされた投資家はこの流れに乗れなかった、と思う。これが相場の怖さである。株価は時に理不尽な値動きをみせる。なにしろ、国策は株高誘導(各国中央銀行、政府はコロナ対策費として13兆ドル→1340兆円を投入)である。国策に逆らっては負ける。
●景気、企業業績の回復を先取りする株価!
2020年に世界の株式市場の時価総額は15兆ドル(約1550兆円)増えた。まさに、政策対応の効果である。株式市場は1年先を見据えて動いている。すなわち、景気回復を織り込み始めている。企業業績もそうだ。足もとの業績ではない。将来の収益を先取りする。
ニコン <7731> 、エイチ・アイ・エス <9603> の強さは21年度の業績を反映したものだろう。ニコンには業績のV字型回復期待に加え、自動運転に不可欠なセンサーであるLiDAR(ライダー)の大手、ベロダイン・ライダー(アメリカ)に出資するとともに、ライダーの受託生産を行っている。昨年1月20日には1397円の高値がある。
このほか、材料系の銘柄ではコロナ治療薬を開発中のペプチドリーム <4587> 、業績急浮上のJALCOホールディングス <6625> [JQ]、PERが11倍前後と割安かつホロン <7748> [JQ]の大株主のエー・アンド・デイ <7745> 、青空圏を疾駆しているAbalance <3856> [東証2]などに注目できる。
さらに、EV関連のインスペック <6656> [東証2]、5G関連のヴィスコ・テクノロジーズ <6698> [東証2]、出直り態勢のアイキューブドシステムズ <4495> [東証M]、Sun Asterisk <4053> [東証M]、リサイクルのタケエイ <2151> 、太陽光発電装置のエヌ・ピー・シー <6255> [東証M]は狙える。
2021年1月8日 記
株探ニュース