来週の相場で注目すべき3つのポイント:日欧の中銀イベント、バイデン新大統領就任式、米金融大手の決算発表

市況
2021年1月16日 18時23分

■株式相場見通し

予想レンジ:上限29200-下限27800円

来週の日経平均は一進一退の展開が予想される。年明け以降、高値更新が続いてきた日経平均には、1月だけで昨年末比2000円超高と急ピッチでの上昇が続いているだけあって、反動安を警戒している向きもあるだろう。しかし、急伸した14日こそ先物の売買高も膨らんだが、市場で「出遅れ感を意識した海外機関投資家からの現物買いが増えている」といった声も聞かれるように、大勢は現物株主導の相場展開が続いている。先物と違って期限のない現物株をすぐに売るとは考えにくく、下げた場合でも全体としては底堅く推移しそうだ。そのほか、「売りものが少ない分、小規模の買いでも値幅が出やすく、売買動向に過熱感があるわけではない」といった指摘も聞かれており、指数から感じられるほどには全体に過熱感があるわけではないようだ。

こうしたなか、20日には米国で大統領就任式が行われるが、暴動による一時的な政局混乱なども警戒される。市場はこれまでのところこうした政治動向には見向きもしていないが、一本調子で上昇してきている指数がこうした目に見えるイベントを1つのきっかけに、一時的な調整を挟む可能性もあろう。

ただし、大勢は大規模金融緩和による過剰流動性が株高を演出する構図に変化がなく、14日のパウエル氏による「緩和政策の出口議論は時期尚早」との発言がこれを強化した面もある。また、下げたところでは買い遅れた投資家による押し目買いが下支えしよう。日米での主要企業の決算発表が1月後半から控えていることもあり、様子ムードが台頭しやすいだろうが、決算シーズンに再度上値追いの展開となる可能性にも期待したい。そのほか、20日からは日銀金融政策決定会合、21日には欧州中央銀行(ECB)定例理事会が予定されている。黒田日銀総裁やラガルドECB総裁の発言も注目で、緩和的な内容であれば株高相場の足固めにつながろう。

■為替市場見通し

来週のドル・円は伸び悩みか。バイデン新政権発足によって米国経済の持ち直しが期待されており、長期金利は1%を上回る状態が続いている。ただ、今後発表される10-12月期の米主要企業決算が市場予想を下回った場合、米国株式は弱含みとなり、リスク選好的なドル買いは抑制される可能性がある。

民主党のバイデン氏は1月20日、第46代の米大統領に就任する。上下両院を民主党が多数派を占めることから、円滑な政策運営が期待されている。1.9兆ドル規模とみられる追加経済対策は国債増発要因となるが、同時に米長期金利の上昇要因となることから、ドル買い材料となり得る。

ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は14日の講演で、本格回復に慎重な見方を示し、緩和的な金融政策の長期化を堅持する考えを述べた。それにより、目先はドル買いが抑制されよう。新型コロナウイルスの感染被害が拡大していることもドルの上昇を抑える一因となりそうだ。ワクチン接種拡大への期待は失われていないが、今年1-3月期における米国経済の減速懸念は根強く、米国株式が下落し、長期金利が節目の1%を下回った場合、ドルの上値はやや重くなりそうだ。

■来週の注目スケジュール

1月18日(月):日・鉱工業生産(11月)、中・鉱工業生産指数(12月)、中・小売売上高(12月)など

1月19日(火):欧・欧州新車販売台数(12月)、米・決算発表:ゴールドマン/ネットフリックス/BofA、米・上院財政委員会のイエレン氏の財務長官指名承認公聴会など

1月20日(水):日・日銀金融政策決定会合(21日まで)、海外・決算発表:ASMLホールディング、P&G、モルガンS、アルコア、米・バイデン氏の大統領就任式など

1月21日(木):日・工作機械受注(12月)、黒田日銀総裁の会見、米・住宅着工件数(12月)、米・フィラデルフィア連銀製造業景況指数(1月)、欧・欧州中央銀行(ECB)定例理事会など

1月22日(金):日・製造業/サービス業PMI(1月)、欧・製造業/サービス業PMI(1月)、米・製造業/サービス業PMI(1月)、米・中古住宅販売件数(12月)など

《YN》

提供:フィスコ

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