リネットジャパン Research Memo(2):「リユース事業」「小型家電リサイクル事業」のほか「海外事業」にも注力

特集
2021年1月21日 15時12分

■リネットジャパングループ<3556>の会社概要

1. 事業概要

創業以来の主力である「リユース事業」は、インターネット専業の「ネットオフ」ブランドで買取・販売サービスを手掛けている。リユース市場の拡大、ネット化の進展などを追い風としながら、中古本を中心とした幅広いジャンルをワンストップで取り扱う利便性の高さやローコストオペレーションなどにより、会員基盤は国内最大級の約300万人に上る。

一方、2014年より開始した「小型家電リサイクル事業」は、小型家電リサイクル法の許認可取得により、「リネット」ブランドにて宅配便を活用した回収サービスを提供している。全国の自治体と提携し、行政サービスの一環として展開していることや各種サービス収入による独自のプラットフォームに特徴があり、いわゆる「都市鉱山」として知られている潜在市場の大きさ、参入障壁の高さ、国民の意識の高まりなどにより新たな収益の柱として順調に伸びてきた。2020年11月2日現在の連携自治体数は283に上り、さらに増え続けている。

また、2018年9月期より本格参入した「海外事業」は、成長と規模が期待できる領域で、車両販売・中古車リース事業、マイクロファイナンス事業、人材送出し事業などを展開している。

2020年9月期における事業別営業収益構成比率では、「リユース事業」が57.2%、「小型家電リサイクル事業」が17.0%、「海外事業」が25.8%とバランスが取れている。

各事業の概要は以下のとおりである。

(1) リユース事業

「ネットオフ」ブランドによる自社サイトを通じて、ユーザーから中古本、CD、DVD、ゲームソフトのほか、ブランド品、貴金属、カメラ、フィギュア等、幅広い商品の買取申し込みを受け付け、宅配便で集荷後、査定額を指定口座に支払う「宅配買取」を行う一方、買い取った商材を自社で運営するインターネット中古書店やアマゾンなど提携会社の運営サイトを通じて販売する「eコマース」を組み合わせた事業である。実店舗を構えず、インターネットと宅配便を活用したインターネット専業であるとともに、2つの大規模な商品センター(延べ4,000坪)により大量の在庫品をさばく体制を構築している。

(2) 小型家電リサイクル事業

「リネット」ブランドによる自社サイトを通じて、ユーザーからの申し込みにより、直接、不要となった使用済小型電子機器等を有償で宅配回収するとともに、パソコンや携帯電話を廃棄する際に個人情報漏えいを懸念するユーザー向けのデータ消去サービスなどのオプションサービスも有償で提供している。また、回収した使用済小型電子機器等はリユース販売、もしくはこれらの部品に含まれるレアメタルを中間処理会社に売却するプラットフォーム型の事業(各プレイヤーをつなぐことでバックヤードを介在しない事業モデル)である。2014年1月に小型家電リサイクル法の認定事業者免許を取得して参入した。宅配便を活用した回収スキームでは全国唯一の存在である。自治体ルートに加え、循環型社会の構築に取り組む大手家電量販店や電子機器メーカーとの協業も開始しており、事業拡大の余地は大きい。また、自前のパソコン処理センター(約1,000坪)を開設し、リサイクルを通じた知的障がい者雇用の推進にも取り組んでおり、障がい者雇用を義務付けられている民間企業等との連携により、就業機会の創出とリサイクルの推進(パソコン回収ルートの確保)を目指す。

(3) 海外事業

経済発展の著しいカンボジアにおいて、ビジネスの成長と規模が期待できる3つの領域、すなわち、自動車関連市場、ファイナンス市場、人材関連市場において、車両販売事業、中古車リース事業、マイクロファイナンス事業、マイクロ保険事業、人材送出し事業など展開している。さらには、人材育成を中心として、カンボジア政府、日本政府、国際協力機構(JICA)との共同により、カンボジア国内における国際協力活動にも参画している。カンボジア事業は、コロナ禍の影響を一部受け、足元業績は大きく落ち込んだものの、同社の中長期的な成長の柱であることに変わりはない。今後もリスクを限定し、市場環境の動向にも柔軟に対応しながら、更なる事業拡大や社会貢献に向けて強化を図っていく方針である。海外における事業は以下のとおりである。

a) 車両販売事業

2017年11月に設立したRENET JAPAN (CAMBODIA) CO.,LTDにより車両仕入・割賦販売を手掛けている。中古の車両・農機具に対する旺盛な需要を背景として大きく拡大してきたが、足元ではコロナ禍の影響を受けて大幅に減速しており、当面は新規営業を凍結する方針である。

b) 中古車リース事業

2019年10月にSBIホールディングス<8473>との共同にて、カンボジアにおけるリース会社ELIN LEASING PLC.(以下、エリン)の株式を取得(出資比率は同社51%:SBIホールディングス49%)し、車両リース事業を開始した。ただ、こちらもコロナ禍の影響を見据え、事業の大幅縮小を図るとともに、SBIグループの持ち分49%を買い取り、リストラクチャリングに取り組んでいる。

c) マイクロファイナンス事業

2018年2月にフランスのNGO団体が運営するカンボジア国内のソーシャル・マイクロファイナンス機関であるCHAMROEUN MICROFINANCE PLC.(以下、チャムロン)※の株式を取得(100%)し、貧困層へのマイクロファイナンス事業へ参入した(2018年10月より連結化)。社会性の高いビジネスであり、コロナ禍のなかでも堅調に推移している。

※チャムロンの支店数は21店舗、借り手数は約4万人、貸付残高は約28 百万ドル。

d) マイクロ保険事業

2019年2月にはソーシャル・マイクロ保険会社であるPrevoir (Kampuchea) Micro Life Insurance Plc.(以下、プレボア)の株式譲渡契約(持分比率100%)を締結。2020年1月から連結化している。

e) 人材送出し事業

2018年4月にカンボジア技能実習生の日本への送出しを行う現地法人として、現地のパートナー企業とMETREY HR CO., LTD(現同社出資比率36.5%)を設立した。カンボジア政府の要請により、カンボジア政府が管轄する職業訓練学校(NPIC)内で「機械整備コース」を開講し、人材育成を行ってきたことがきっかけである。日本及びカンボジア両国でニーズが高い自動車整備士の育成・送出しからスタートし、将来的には、現地労働・職業訓練省が管轄する全国39校をつなぐビジネスモデルへ発展させるとともに、自動車整備士だけでなく幅広い職種に拡大していく。また、1,500人規模の送出し用研修センター兼寮の建設も計画中である。コロナ禍に伴って、日本国における外国人労働者へのビザ発給が一時的に停止されたが、2020年10月より技能実習生の日本への送出しを再開している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《NB》

提供:フィスコ

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