来週の相場で注目すべき3つのポイント:日米10-12月期決算、各国PMI/米ISM、米雇用統計

市況
2021年1月30日 18時22分

■株式相場見通し

予想レンジ:上限28500-下限26500円

来週の日経平均は軟調な展開が予想される。主力企業の決算シーズン最中であるため、引き続き週を通じて決算を受けた個別株物色が主体となるだろう。ただ、全体としては前週末の流れを引き継ぐ形でボラティリティーの高まりを警戒するムードが継続し、日経平均などの指数は軟調となりそうだ。

まず、何といっても投機的取引の過熱感が拭えない米株市場の動向が気がかりだ。もともと、オプション絡みの取引も相まった結果ではあるが、米テスラ株が「合理的バブル」という言葉ですら正当化できないほどに上昇し続けていたことは以前から懸念材料だった。直近ではこれに加え、SNSで結集した素人個人投資家がゲームストップ株を買い上げ、ヘッジファンドが救済資金を受け取る事態に陥るなど、米国では過熱的な取引が目立つケースが増えている。

バイデン政権や証券取引委員会(SEC)も状況を注視しているというが、とりわけコロナ禍中の投機的な動きに急進左派勢力などがどのような反応を示すかが気になる。VIX指数も高止まりで警戒ムードは続いている。こうした指標をもとに株式の組み入れ比率を機械的に決めているファンドもあるだけに、ボラティリティーの高止まりには警戒が必要だ。

また、中国市場では株式・不動産市場の過熱鎮静化に向けた金融政策の引き締め転換観測が浮上している。足元では、主要短期金利の1つである翌日物加重平均レポ金利が急上昇するケースもみられている。これまで世界で溢れるマネーが生み出す過剰流動性相場が続いてきただけに、今後は米中当局の動向が大きなカギを握りそうだ。

一方、リスク回避の機運が高まるなかでもまだ総悲観とまでには至っていないようだ。週末のムードが悪いなかでも富士通<6702>など決算が素直に好感される銘柄も散見された。また、電気機器セクターのなかでも太陽誘電<6976>などは高値圏をキープして堅調な動きを続けた。

そのほか、それまで好調だった銘柄が売られる一方で、出遅れ感のあった小売や食料品、医薬品といった内需・ディフェンシブ株が週末にかけて買われていた。まだ資金循環が利いている様子で総悲観になるには時期尚早だが、上述したようにムードが変わってきているため、大勢強気保持のこれまでの姿勢からはやや切り替えが必要だろう。

■為替市場見通し

来週のドル・円は底堅い値動きか。1月米雇用統計など経済指標が低調な内容だった場合、米国の景気回復に不透明感が広がりそうだ。株式市場で調整売りが強まるなか、安全逃避的なドル買いがただちに縮小する可能性は低いとみられる。1月26-27日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で、現行の金融政策を維持することが決まった。一部が期待していた資産買入れの規模縮小については見送られ、緩和的な金融政策の長期化方針が示された。

FOMC声明やパウエルFRB議長の記者会見で成長と雇用に関し、回復の遅れについて強い懸念が示され、今後は経済指標や企業業績などがクローズアップされる見通し。特に、2月5日発表の1月雇用統計内容が予想を下回った場合、先行きへの警戒感が広がりそうだ。雇用関連では、1月ISM製造業景況指数の雇用指数やADP雇用統計も合わせて材料視される。

ただ、欧州中央銀行(ECB)当局者からユーロ高けん制発言が相次ぎ、ユーロには下押し圧力がかかりやすいだろう。また、欧州の政局リスクが根強いこともユーロ売り材料となり、ユーロ安・ドル高が続いた場合、ドル安・円高の進行を抑制する可能性がある。

■来週の注目スケジュール

2月1日(月):日・製造業PMI(1月)、日・自動車販売台数(1月)、決算発表:任天堂/レーザーテック、中・財新製造業PMI(1月)、欧・ユーロ圏製造業PMI(1月)、米・ISM製造業景況指数(1月)など

2月2日(火):決算発表:デンソー、MonotaRO、欧・ユーロ圏GDP速報値(10-12月)、米・自動車販売(1月、3日までに)、米・決算発表:アマゾンなど

2月3日(水):日・サービス業PMI(1月)、決算発表:ソニー、中・財新サービス業PMI(1月)、米・ISM非製造業景況指数(1月)、米・ADP全米雇用報告(1月)、米決算発表:クアルコムなど

2月4日(木):決算発表:イビデン/メルカリ/伊藤忠、米・製造業受注(12月)など

2月5日(金):日・家計支出(12月)、日・景気先行CI指数(12月)、QDレーザが東証マザーズに新規上場、決算発表:ダイフク/日本製鉄、米・雇用統計(1月)など

2月7日(日):日・11都府県に発令された緊急事態宣言の期限

《YN》

提供:フィスコ

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