明日の株式相場に向けて=30年半ぶり高値の背景、日本は初夏に集団免疫獲得か
8日の日経平均株価は前週末に比べ609円高と大幅続伸し、1990年8月以来、30年6カ月ぶりに2万9000円台を回復した。米国での追加経済対策の成立に向けた期待感が膨らんだことが、追い風となったのは確かだ。しかし、見逃すことができないのは、この日、TOPIXも18年高値1911を突破し91年6月以来、29年8カ月ぶりの高値圏に躍り出たことだ。市場の関心は、この景気敏感株の急上昇に向かっている。
神戸製鋼所<5406>は、21年3月期の最終損益が150億円の赤字からゼロに上方修正したことが好感され、株価は17%高。日本製鉄<5401>も業績の増額修正を受け10%高と急騰した。市場関係者からは「日本製鉄のように昨年来高値にも上昇していない景気敏感株には一段高余地がある」(アナリスト)との見方も出ている。決算はピークを迎えつつあるが、10日のトヨタ自動車<7203>の決算に対する関心は強く、その前哨戦となる日産自動車<7201>とホンダ<7267>は明日に発表が予定されている。
景気敏感株が上昇し、2万9000円台を奪回した背景には、新型コロナワクチンに対する期待があるのだろう。イスラエルでは優先接種した60歳以上では新規感染が4割減ったとの分析が出ているという。
日本においては2月中にもワクチン接種が始まるが、国内大手証券では「集団免疫獲得の閾値(いきち)を60~70%とすると、イスラエルは2月中、英国は4月頃、米国は6月頃に集団免疫を獲得する可能性がある」と予想している。日本に関しては、人口当たりの陽性者数が欧米諸国の25分の1であり、免疫力が高いと考えられる点などを考慮し、集団免疫閾値は26.5~40.0%と国際的な基準よりも低くなるとしたうえで「早ければ6~7月頃にも集団免疫を獲得する可能性」をみている。
変異種の存在やワクチン接種時期が遅れることがあり得ることなどを考慮する必要があるが、世界の投資家は新型コロナに対する集団免疫の獲得を視野に入れ景気敏感株を買い上がっているとみておくべきなのだろう。
最終更新日:2021年02月08日 18時24分