富田隆弥の【CHART CLUB】 「そろそろスピード調整か」

市況
2021年2月13日 10時00分

◆米国では、市場を揺るがしたゲームストップなどの小型株が落ち着いたかと思いきや、今度は暗号資産「ビットコイン」の急騰だ。テスラがビットコインに15億ドルを投じると伝わったからだが、その大きな背景にはやはり未曽有の金融緩和と財政出動による「カネ余り」がある。

◆貪欲なマネーは株式や金融、商品などあらゆる市場に流れ込む。価格が動くところにマネーは向かい、そしてマネーゲームと化す。10日現在、WTI原油先物は8日続伸だが、代表的な商品指数であるCRB指数も9日まで7日続伸し、大豆やトウモロコシといった穀物価格の上昇も目立つ。オンライン掲示板「レディット」を通じた個人投資家の集中物色も続いており、まだしばらくマネーゲーム的な動きが各市場でみられることだろう。

◆こうした投機的な動きの台頭をFRB(米連邦準備制度理事会)やSEC(証券取引委員会)、イエレン財務長官が黙って見ているとは思えない。何かしら規制に動く可能性があり、そうなると最高値を更新するNYダウ平均ナスダック総合指数など株式市場に影響が出ることも否めなくなる。

日経平均株価は10日に2万9562円で引けて4日続伸、30年半ぶりの水準を取り戻している。チャートは25日移動平均線に支持されて上昇基調にあり、「3万円」を捉えるのも時間の問題だろう。

◆ただし、日本株には「節分天井、彼岸底」の格言があるほか、確定申告と年度末の重なる3月は調整アノマリー(経験則)もある。騰落レシオやRCI(順位相関指数)、サイコロジカルラインなど日足の短期テクニカル指標は再び高値圏に迫っている。こうした点を踏まえると、「そろそろ一服」という展開を想定しておきたい。

◆株高を背景にマスコミが海外勢の日本株買いや個人投資家の「億り人」を取り上げるようになってきた。日本の若者が株式投資に関心を持つのは歓迎すべきことだが、皆が強気(楽観)に傾くところでは注意も必要である。スピード調整を想定するものの、「風雨強まる高値圏」でもあり、ここからは少し慎重に対応すべきタイミングと思われる。

(2月10日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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