鈴木英之氏【日経平均ついに3万円大台! ここからの展望は】(2) <相場観特集>
―コロナ禍での株高、加速する過剰流動性相場の行き先―
週明け15日の東京株式市場は日経平均が急反発に転じ、3万円大台を回復。これは今から30年半前、バブルの余韻冷めやらぬ1990年8月2日以来となる。新型コロナウイルスに対する警戒感は依然拭い切れない状況ながら、株価は問答無用の上げ足をみせている。ここから3月期末に向けてマーケットはどう動くのか。第一線で活躍を続ける市場関係者2人に見通しを聞いた。
●「バブルとは言えず妥当水準」「BPSの増加が株価押し上げも」
鈴木英之氏(SBI証券 投資調査部長)
日経平均3万円乗せは「世界的な過剰流動性」が大きなベースになっていることに加え、「米国の政権交代が順調に進んだこと」「新型コロナワクチンが期待から現実となり、経済再開に向けて業績回復が見込める状況になったこと」などの要因が背景にはあるのだと思う。
株価の急激な上昇に対して、一部では懸念も出ているが、必ずしもバブル的な上昇とは言えないだろう。日経平均株価の1株当たり純資産(BPS)は2001年4月の5172円が足もとでは2万2707円まで約4.4倍に膨らんだ。日経平均株価も2009年3月のバブル崩壊後安値7054円から、今年2月12日の2万9520円まで約4.2倍に上昇している。BPSの増加を背景に、日経平均株価も上昇している側面がある。この点に焦点を当てれば、現在の日経平均株価は妥当な水準にあるといえるだろう。
目先的には、株価面では騰落レシオはやや過熱水準にあるほか、その好調な内容が株価を押し上げてきた決算発表も一巡することから3万円乗せで、いったん目標達成感が出てくることもあり得るだろう。
ただ、今年前半というタームでみると一段の上昇余地はあるかもしれない。現在の日経平均株価のPBRは1.3倍台にある。アベノミクスが始まった後のPBRの平均は約1.5倍となっている。この水準を当てはめれば、日経平均株価は3万4000円台となる。今年の4~5月にかけて、この高値水準を試す展開があるかもしれない。
日経平均株価の最高値3万8915円までは、まだ3割近い上昇が必要であり、相当パワーが必要だ。ただ、ここから上の水準は真空地帯にもなる。3万円を超えての上昇となった場合は荒い値動きとなることも考えられる。
この先の物色では、東京エレクトロン <8035> のような半導体関連株は、グロースとバリューの両方の側面を持ち、まだ投資妙味があるように思える。また、10-12月期の業績が好調だった銘柄も狙い目だと思う。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(すずき・ひでゆき)
早稲田大学卒。リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資調査部長に。モーニングスター株式会社(投資調査部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て2009年5月より現職。ラジオ日経、ストックボイス等で相場解説を行っている。
株探ニュース