来週の相場で注目すべき3つのポイント:パウエルFRB議長の議会証言、米長期金利の動向、新興市場IPO
■株式相場見通し
予想レンジ:上限30700-下限29700円
来週の日経平均は大台3万円台での一進一退の展開が想定される。米国での大規模な追加経済対策の成立を目前に控えるなか、ワクチン接種が先進各国で始まり、マクロ環境は良好だ。先日の決算シーズンで主力企業の力強い業績改善も確認でき、目先は売り材料が見当たらないという状況に変化はない。
また、17日には、1月下旬に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が公表され、連邦準備制度理事会(FRB)が足元の物価上昇は短期的なものとみており、金融緩和は当面維持する方針だと示されたことも支援材料だ。
一方で、日経平均が29000円を達成した後に間髪を入れずに3万円を突破するなど、指数の高値警戒感は一層強まっている。市場では、1990年前後のバブル期と比べて株価収益率(PER)に異常は見られないほか、株式益回りと債券金利との差(イールドスプレッド)など、当時とは違って今の株高を正当化できるとする見解が多い。
そうした中、米バンク・オブ・アメリカ(BofA)が16日に公表したグローバルファンドマネジャー調査によれば、世界の景気見通しは調査開始以来で最も強気で、足元の株高が「バブル」という回答は僅か13%にとどまったという。弱気派が混在していることがこれまでの株高を息の長いものにしてきたことを考慮すれば、市場が総じて強気に傾いてきたことはやや懸念であろう。
それでも大勢は、財政金融による大規模なマクロ経済政策による下支え、ワクチン接種の進展による景気回復期待の高まり、そして、業績改善の裏付けという要素に基づくリスクオンムードの継続が想定される。
ただ、米長期金利(10年物国債)が1年ぶりの高水準となる1.3%台を付けるなど、金利上昇ピッチが速い点には注意が必要だ。ここまでの金利上昇は景気回復に基づく良い金利上昇であることや、期待インフレ率を差し引いた実質金利ベースでは依然としてマイナス圏での低位安定が続いているため、大きく問題視する向きは少ない。しかし、あまりにスピードが速いと、市場の警戒感が一気に高まるため、金利動向には留意が必要だろう。
■為替市場見通し
来週のドル・円はもみ合いか。米国における新型コロナウイルスの新規感染者は減少傾向にあるなか、バイデン政権は製薬大手ファイザーとモデルナから追加購入の契約を決め、7月末までに全国民へのワクチン供給を進める考えのようだ。経済活動拡大への期待は持続しており、2月25日発表の10-12月期国内総生産(GDP)改定値が市場予想を上回った場合、景気見通しは改善し、ドル買い材料となりそうだ。
ただ、長期金利の上昇は株価収益率(PER)の高いハイテクなど一部セクターを圧迫する(株安の材料)可能性がある。金利上昇で米国株式がさえない動きとなった場合、長期金利は反落する可能性もあり、この場合はドル売り・円買いが増えると予想される。10-12月期国内総生産改定値が市場予想を下回った場合もドル売り材料となる。なお、2月23日にはパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演が予定されているが、現行の低金利政策を長期間維持することを改めて伝えるとみられており、有力な売買材料にはなりにくいだろう。
■来週の注目スケジュール
2月22日(月):独・IFO企業景況感指数(2月)、米・景気先行指数(1月)、欧・ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁が基調講演など
2月23日(火):日・株式市場は祝日のため休場(天皇誕生日)、米・消費者信頼感指数(2月)、米・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が半年に1度の議会証言(上院銀行委員会)など
2月24日(水):米・新築住宅販売件数(1月)、米・決算発表:エヌビディアなど
2月25日(木):日・景気先行CI指数(12月)、アピリッツが東証ジャスダックに新規上場、米・耐久財受注(1月)、米・GDP改定値(10-12月)など
2月26日(金):日・小売売上高(1月)、日・鉱工業生産指数(1月)、colyが東証マザーズに新規上場、米・個人所得/消費支出(1月)、米・ミシガン大学消費者マインド指数(2月)、G20財務相・中央銀行総裁会議(27日まで)など
《YN》