注視すべきは「マネー変調」に「未来図」/後場の投資戦略

市況
2021年2月26日 12時28分

日経平均 : 29446.17 (-722.10)

TOPIX  : 1889.18 (-37.05)

[後場の投資戦略]

前日の米金融市場の急変を受け、本日の日経平均は朝方に一時900円を超える下落となった。その後は米長期金利の伸び悩みもあっていったん下げが一服。29000円台に位置する25日移動平均線近くまで調整し、押し目買いを拾う動きも出やすかったのだろう。とりわけマザーズ指数の戻りが大きいところを見ると、買いの主体は個人投資家と考えられる。日経平均が節目の3万円台を回復すると高値警戒感も広がったが、その後の下落局面では日経レバETF<1570>の信用買いが膨らみ、個人投資家の押し目買い意欲が根強いことが窺えた。前日ジャスダック市場に新規上場したアピリッツ<4174>、また本日マザーズ市場に新規上場したcoly<4175>はいまだ買い気配が続いており、ここだけ見れば個人投資家の物色意欲は旺盛な印象だ。

ただ、マザーズ指数に比べ日経平均の戻りが鈍いところを見ると、海外勢を含む大方の機関投資家は静観ムードなのかもしれない。

このところ「米長期金利の上昇は『良い』か『悪い』か」といった議論が多く見受けられたが、筆者にはやや違和感があったし、おそらく市場参加者の多くも同様であったと考えている。実際、金利上昇で逆風が強まると目されているマザーズの新興株には押し目買いの動きも出ている。問題は「金利上昇などの直近の動きが金融市場や経済にどのような影響をもたらすか」であり、市場参加者の関心もそこにあるのだろう。

そのうえでまず警戒されるのは「マネーの変調」だ。実際、急変が生じているのは株式市場や米国債市場だけではない。マネー変調の影響が色濃く出る投資不適格級の「ジャンク債」を扱う上場投資信託(ETF)、新興国通貨なども軒並み下げがきつい。これらでダメージを受けた投資家の持ち高を手仕舞う動きは他市場にも波及する可能性がある。

コロナショック後の戻り相場で多くの機関投資家が学んだことは、おそらく「できる限り上昇相場に踏みとどまること」だろう。でないと一定期間内のベンチマーク(指標)対比でのパフォーマンスが劣ってしまう。また、コロナショック後に投資を始めた個人投資家の多くは急落をまだ知らないだろう。これらは下落局面で株価変動率(ボラティリティ)を高める要因となる可能性がある。

また、昨日の当欄で述べたが、市場参加者の目線はさらにその先の「コロナ後の経済」にあるのかもしれない。ここ数日の米連邦準備理事会(FRB)高官の発言は金利上昇やインフレの加速を警戒・けん制する内容ではなかった。今週に入り明らかに値動きが強かったのは、景気敏感系というより商品高の恩恵を受ける銘柄だったとの印象もある。重ねて言うが、本日と同様に日経平均が大きく下落した一昨日、逆行高を演じたのが不動産株やファーストリテだったのは市場が描く「未来図」だと思えてならない。(小林大純)

《AK》

提供:フィスコ

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