来週の株式相場に向けて=債券市場の波乱を抑え込めるか
26日の日経平均株価は前日比1202円安の2万8966円と急落。下落幅は過去10番目の大きさとなった。今月に入り、週末に株価が下落し週初に上昇するといったパターンが多いが、この日の下げで3万円はもちろん2万9000円ラインも割り込んだことから、当面は相場をどう修復していくかがポイントとなる。
この日の株価下落の最大の要因は、言うまでもなく米長期金利の上昇だ。米10年債利回りは、25日に1.61%と昨年2月以来、1年ぶりの水準に上昇した。米景気回復期待が背景にあるが、この金利高は高PERのハイテク株にはボディブローとして効き、株価は軒並み安となった。
この米金利上昇は「23日と24日に開催されたパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言が促したもの」(アナリスト)との見方がある。同議長は「インフレは一時的」「インフレ目標の達成には3年余りかかる」と述べ金融緩和の長期継続を表明した。この結果、「パウエル議長が金利上昇を容認したと受け止められ、足もとの金利上昇に弾みがついた」(同)とみる声が出ている。となると、FRBの現状の政策スタンスを維持するのなら、金利上昇・株安という構図が続く可能性もある。ただ、今回の金利上昇は「景気回復に伴う良い金利上昇」(市場関係者)とみる声は少なくない。
3月は16~17日に米連邦公開市場委員会(FOMC)があり、ここでFRBがどんなメッセージを出すかが焦点となりそうだ。更に、18~19日に日銀金融政策決定会合が続く。債券市場の波乱に対する日米中央銀行の対処策を市場は注視している。こうしたなか当面の株式相場は、バリュー株の押し目買いが優勢となる展開が予想される。
来週は米国で重要経済指標の発表が目白押しだ。1日に米2月ISM製造業景況感指数、3日に米2月ADP雇用統計、同ISM非製造景況感指数、5日に米2月雇用統計が発表される。国内では2日に10~12月期法人企業統計、1月失業率・有効求人倍率が公表される。4日には積水ハウス<1928>が決算を発表する。来週の日経平均株価の予想レンジは2万8700~2万9600円。(岡里英幸)