富田隆弥の【CHART CLUB】 「季節的アノマリーで日本株を見通す」
◆今回は日本株の季節的アノマリー(経験則)を少し紹介しておこう。まず、6月と12月に「株高」アノマリーがある。これにはボーナスの支給が大きく関わっており、証券会社を始め金融業界はその資金を獲得すべく「株高」の演出に尽力するからだ。また、6月は夏のバカンスを控えて、12月はクリスマスとお正月休みを控えて国民(投資家)のテンションも上がりやすくなる。
◆次は「節分天井、彼岸底」。年末年始の「宴(うたげ)」の余韻と新年への期待から1月相場は堅調に始まるが、2月初旬の節分の頃になると買い疲れ感が出てきて上値が重くなる。そして、確定申告期間と年度末となる3月にかけて調整しやすくなる。個人投資家は税金資金を捻出するために株を売り、機関投資家は年度末で一旦ポジション調整に動く。
◆彼岸底の後、4月の新年度入りとともに再び株価は上昇に向かう。年金や投資信託などの機関投資家が新年度予算を背景に買いに動き出し、そして6月高値に向かう。しかし、6月高値の後は8月の「お盆」頃まで調整が続きやすい。バカンスを控えて外国人投資家の利益確定売りが出るほか、日本も夏休み・お盆シーズン入りで多くの投資家が休みに入る。
◆最後は「秋の調整」。お盆の安値から浮上を始めた相場も、10月頃になると海外勢がヘッジファンドの決算期を控えて売りに動きやすい(45日ルール)。1987年のブラックマンデーも10月であったが、何かのキッカケで下落するとヘッジファンドの売りで振れが大きくなりやすいのが秋相場の特徴だ。
◆1年を通して日本株にはこのようなアノマリーがあり、覚えておくと役立つこともあろう。さて、迎える3月相場。コロナ禍の大変な時代ではあるが、変わらずにマネーが動く相場の世界では、こうしたアノマリーが今現在も通用すると思われる。
(2月25日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース