為替週間見通し:下げ渋りか、安全逃避的なドル買い継続も
【今週の概況】
■米長期金利上昇を意識してドル買い強まる
今週のドル・円は強含み。週初に104円92銭まで売られたが、米長期金利の上昇を意識してドル買い・円売りが優勢となり、昨年9月以来となる106円台後半までドル高・円安が進行した。2月25日の米国株式は大幅安となり、翌日の東京市場で日経平均は1202円安となったが、安全逃避的なドル買いは縮小しなかった。
26日のニューヨーク外為市場でドル・円は、106円21銭から106円69銭まで上昇した。この日発表された1月コアPCE価格指数は前年比+1.5%で市場予想を上回ったことや、2月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値は上方修正されたことが意識されたようだ。米国債利回りは反落したが、ドル買い・円売りは縮小しなかった。ドル・円は106円57銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:104円92銭-106円69銭。
【来週の見通し】
■下げ渋りか、安全逃避的なドル買い継続も
来週のドル・円は下げ渋りか。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は2月23-24日に開かれた議会証言で、米国経済のすみやかな回復に慎重な見方を示すとともに、物価目標の達成には3年以上かかると述べた。ただし、財政支出の大幅な拡大によっても景気回復への期待は持続しており、長期金利の上昇は一服したものの、インフレ鈍化の可能性は低いとみられている。欧米、アジア諸国の株式は弱含みとなっても、リスク回避的なドル売り・円買いがただちに拡大する可能性は低いとみられる。
【米・2月ISM製造業景況指数】(3月1日発表予定)
3月1日発表の米2月ISM製造業景況指数は58.8と、1月の58.7を若干上回る見通し。コロナまん延で制限強化の打撃は和らぎ、上昇なら早期正常化への期待感から株高・ドル高の材料になりそうだ。
【米・2月雇用統計】(3月5日発表予定)
3月5日発表の米2月雇用統計は回復基調が続くか注目される。1月は失業率6.3%、非農業部門雇用者数は前月比+4.9万人、平均時給は前年比+5.4%で、労働参加率の低下が嫌気された。ただ、失業率や雇用者数の改善で、株高ならドル買い材料に。
予想レンジ:105円50銭-107円50銭
《FA》