明日の株式相場に向けて=3月前半は総論警戒も材料株優位

市況
2021年3月1日 17時00分

名実ともに3月相場入りとなった1日の東京株式市場は、日経平均株価が697円高の2万9663円と急反発。日経平均は前週末に1200円強の暴落に見舞われた後だけに、緊張の週明け・月替わりとなったが、とりあえず投資家サイドからは安堵の溜息が漏れる展開となった。値上がり銘柄数は1900を超え東証1部全体の88%の銘柄が上昇している。もっとも上げ幅は前週末の下げに対し6割弱の戻りに過ぎず、一部買い戻しを除けばそれほど買い意欲の強い展開とはいえなかった。

日経平均は節分天井ではなかったが、2月16日に高値を形成してその後は調整モードに入り、26日に雪崩が発生した格好となった。3月相場入りで25日移動平均線を再び回復したものの、まだ安心はできない。彼岸底のセオリーが現実化するかどうかは別として、今月中旬にかけて、少し買いポジションは低くしておくのが妥当と思われる。

3月という月は過去10年間を振り返って、前月末との比較で日経平均・TOPIXともに勝率4割と負け越している。期末に向けて機関投資家が好パフォーマンス銘柄をキャッシュ化して利益を確保する動きが相場に影響を与える。その代わり、4月は新営業年度で新たな資金が流れ込み強い動きとなりやすい。日経平均で見た場合、同月の過去10年の勝率は7割と高い。このアノマリーを生かすとすれば、3月後半までは様子を見ながら、できるだけ押し目を引きつけて買い向かうというのが理想的シナリオといえる。

また、個別株についていえば、ここから再び全体指数の影響を受けにくい中小型の材料株が有利な地合いとなりそうだ。決算発表を絡め企業のファンダメンタルズにスポット当てた買いが一巡したことで、足もとの業績にそれほど神経質にならなくてもよく、その分だけ個別株物色の幅は広がりやすくなる。

ここ中国をはじめとする世界景気の回復期待を背景に銅市況の上昇が続いており、前週末は株式市場などのリスク回避の流れに抗えず急反落とはなったが、こちらはビットコインとは違って景気回復の実態がベースとしてあり、さらなる高みを目指す可能性がある。同関連では前週に取り上げたアサカ理研<5724>のほか、黒谷<3168>にも一段の上値余地がありそう。また、脱炭素のテーマから波及してアンモニア分野に光が当たっている。そのなか、原発関連の側面もある木村化工機<6378>が適度に押し目を形成しながらも強いチャートで改めてマークしておきたい。

見落とされがちなセクターだが、船舶用発電エンジンでダイハツディーゼル<6023>の動きが軽い。同社は防衛省との取引実績が厚いほか、脱炭素関連の一角でもある。足もとの業績低調でマーケットの注目度も薄いだけに穴株妙味が漂う。2月に入ってビットコイン関連の一角で取り上げたギグワークス<2375>は1株を3株にする株式分割発表で一気に人気加速したが、権利取りの動きを交えて上値指向が続きそう。昨年12月29日につけた上場来高値3345円払拭から青空圏飛翔が実現しそうな気配だ。このほか、人工知能(AI)関連に物色の波が寄せている。前週はブレインパッド<3655>の強さが目立ったが、同社株以外でも動意前夜の銘柄が今の東京市場には数多く眠っているようにみえる。その観点から高性能コンピューター開発を手掛け量子分野にも踏み込むHPCシステムズ<6597>の押し目狙いも一考。

あすのスケジュールでは、1月の完全失業率、1月の有効求人倍率、2月のマネタリーベースなど。海外では1月の豪住宅建設許可件数、豪州中銀の金融政策決定会合など。2月のユーロ圏消費者物価指数など。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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