来週の株式相場に向けて=方向感を見定める展開に
3月第1週(1~5日)の東京株式市場は、値の荒い展開となった。特に、日経平均株価は4日に前日比628円安と急落し、5日も一時600円超の下落となったものの後場に値を戻し結局、65円安で取引を終えた。
市場の関心は、米長期債の動向に集中している。当面の最大の焦点は16~17日にかけて開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)で、その結果が判明するまで積極的な売買は手控えられる可能性がある。来週にかけては、方向感を確かめる展開が予想される。来週の日経平均株価の予想レンジは2万8200~2万9300円。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は4日に「現在の金融政策のスタンスは適切」と述べたが、米長期金利上昇に対する抑制策を期待した市場の失望感を誘った。米国は今後、FOMC前のブラックアウト期間に入り、FRB関係者の発言は控えられる。それだけに、4日のパウエル議長の発言は重要だったが、期待にはそぐわないものだった。
市場には「現在は金融相場と業績相場の端境期にある」(アナリスト)との見方が出ている。このなか金利が上昇すれば金融相場で上昇した高PERのハイテク株は売られやすい状況だ。日経平均株価は、5日の安値2万8308円で2月16日高値の3万714円からの下落率は約8%となった。なお調整余地は残るものの、目先は下値固めの展開が期待される。
当面の注目ポイントは為替の円安進行だ。1ドル=108円台と昨年夏以来の円安水準にある。来週は9日に2月工作機械受注が発表される。その結果次第でアマダ<6113>やオークマ<6103>、ユニオンツール<6278>、日本トムソン<6480>などの機械株には追い風となることが期待される。
来週は国内では8日に2月景気ウォッチャー調査、9日に10~12月期国内総生産(GDP)確報値が発表される。また12日は先物のメジャーSQ算出日となる。海外では10日に米2月消費者物価、12日に米2月生産者物価が発表される。また、11日には欧州中央銀行(ECB)理事会が開催される。ECB理事会では、足もとの金融市場の動向に関するコメントが注目されそうだ。(岡里英幸)