来週の相場で注目すべき3つのポイント:米長期金利の動向、米2月消費者物価コア(CPI)、法人企業景気予測調査

市況
2021年3月6日 18時13分

■株式相場見通し

予想レンジ:上限30000-下限28000円

来週の日経平均は、翌週に控える日米の中央銀行イベントを前に、引き続き米国の期待インフレ率や長期金利の動向に神経質な展開が想定される。まず週初は米雇用統計の結果を受けた前週末の米株市場の動きを反映する動きか。その後、週末のメジャーSQ(特別清算指数)を前にこう着感を強めそうだ。

ただ、週後半の海外材料には注意を払いたい。米国時間10日には米2月消費者物価指数(CPI)が発表される。これを反映するのは日本時間で11日。足元で過大とも指摘される財政支出による景気過熱、インフレ加速、これを反映した米長期金利の上昇が相場の関心事になっている。FRBはインフレが起きても一時的なものとしているが、市場においては依然としてインフレ懸念がくすぶっている。

CPIで仮に強い数値が出ると、相場も神経質に反応するかもしれない。飲食・レジャーなどのサービス業はまだまだ弱く、食品・エネルギーを除くコアであれば弱い数値が出ようが、これが市場に安心感を与えるとは考えにくい。むしろ、ある程度想定内ではあるが、エネルギーを含んだCPIで強い数値が出た場合には敏感に反応する可能性もある。地合いが悪い場合は周知の事実でも弱い材料に反応しやすいことに留意しておきたい。特に今週はメジャーSQがあるため神経質になりやすい面もあるだろう。

他方、現地時間11日には欧州中央銀行(ECB)定例理事会がある。金利上昇をけん制する発言があれば安心感をもたらす可能性もある。そのほか、週末には1-3月期の法人企業景気予測調査がある。これ自体が相場に大きな影響力を持つとは考えにくいが、足元、インフレや金利の動きに敏感になっているなか、実体経済の確かな裏付けとして企業の景況感の改善などが示されれば、長期的な強気材料にはなろう。

基本的には翌週に予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀政策決定会合を前に週末のメジャーSQもあるため、来週は週を通じて積極的な売買は手掛けづらいだろう。ただし、広い視野でみれば実質金利は依然マイナスで、これがプラスになるほどの米長期金利の上昇は今のところ考えにくい。パウエルFRB議長もインフレや雇用の目標はほど遠く、緩和政策の長期化を度々強調しており、長期的な視点からみた株式の相対的な魅力が失われたわけではない。日経平均は前週末に一時日足の一目均衡表の雲上限近くまで下げた後、後場は急速に値を戻すなど強い押し目買いも見られた。こうした背景から調整一巡感もあるといえよう。

■為替市場見通し

来週のドル・円は底堅い値動きか。米長期金利の上昇基調は維持されており、米国株安は一服したことから、株安を警戒したリスク回避的な円買いは後退する可能性がある。欧州中央銀行(ECB)の金融政策を巡る思惑でユーロ売り・米ドル買いが優勢となった場合、ドル・円の取引でもドル買い・円売りがやや強まる可能性がありそうだ。

米長期金利の上昇を警戒した株安は一服したようだが、ハイテク株を中心に米国株式への売り圧力は消えていない。米国株式が再び下げた場合、リスク選好的な円売りはやや弱まる見通し。

欧州中央銀行(ECB)は11日開催の理事会で金融政策の現状維持を決定する公算だが、声明やラガルド総裁会見での長期金利への言及が手がかりになる。複数のECB当局者はこれまで金利上昇をけん制していることから、引き続きユーロ売りの要因となり、ドル・円の相場動向にも影響を与える可能性がある。

米連邦準備制度理事会(FRB)はすみやかな景気回復については慎重な見方を変えていないが、長期金利の一定の上昇を容認する姿勢を維持している。米10年債利回りが底堅く推移すればドル売りは仕掛けづらい。米国株式がさえない動きとなっても金利高を手がかりとしたドル買いは縮小せず、ドル・円は108円台での取引が多くなりそうだ。

■来週の注目スケジュール

3月8日(月):日・景気ウオッチャー調査(2月)など

3月9日(火):日・家計支出(1月)、日・GDP改定値(10-12月)、日・工作機械受注(2月)、経済協力開発機構(OECD)が経済見通しを公表など

3月10日(水):中・生産者物価指数(2月)、米・消費者物価コア指数(CPI)(2月)、米・財政収支(2月)など

3月11日(木):日・東京オフィス空室率(2月)、欧・欧州中央銀行(ECB)定例理事会、米・JOLT求人件数(1月)など

3月12日(金):日・1-3月期法人企業景気予測調査、米・ミシガン大学消費者信頼感指数速報(3月)など

《YN》

提供:フィスコ

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