リバランスが重しとなる東京市場、月末に向け軟調に推移か?<東条麻衣子の株式注意情報>
3月9日の米国市場では、3年債の入札が好調であったこともあってか金利上昇の一服が好感されて、下げの厳しかったナスダック総合指数は急反発した。
2月16日の高値1万4175ポイントから3月5日の安値1万2397ポイントまで12%超も下げてきただけに、売られすぎによる反動もあったのだろうが、これはトレンドの転換を示すものではなく、下落基調に変化はないと筆者は見ている。
日経平均株価もこのナスダックと相似した波形で推移しており、ここから月末にかけて調整が続く可能性を警戒しておく必要があるのではないか。
■ナスダックと騰落レシオ(5日)
2月以降、ナスダックは騰落レシオ(5日)が売られすぎ水準に達すると反発はみせるものの、同レシオは値上がり銘柄数と値下がり銘柄数が拮抗する100まで上昇できない状態が続いている。
騰落レシオ(5日)が70を切った日とその翌日のナスダック動きをみてみよう。
2月23日 67.491 2月24日 +132.77
2月26日 59.049 3月1日(26日の翌営業日) +396.48
3月8日 62.826 3月9日 +464.66
騰落レシオが70を切ると反発をみせるが、チャートは右肩下がりの下落トレンドを抜け出すことができずにいる。2月中旬以降、騰落レシオが最も高かった時でも2月19日の95.466にすぎず、買いが続かない状態が続いている。
当面は売られすぎの水準に到達すると一時的に反発することはあっても、トレンドの趨勢を覆すには至らないのではないか。
■リバランス
前回記事(「原油関連株の上昇が示唆する金余り相場のうねり」)でも触れたが、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)を含め月末にかけてはファンドのリバランスの動きが出やすい。GPIFは基本ポートフォリオの資産構成で日本株を25%としているが、現状のウェートはこれを上回っているとみられ、一部観測では3月末にかけて1兆円規模の日本株売りの可能性も指摘されている。
また、ブルームバーグは3月6日付の「『史上最も波乱含み』、モメンタム投資家が3月に大規模なリバランス」と題する記事で、「2兆ドル(約217兆円)規模に上るファクター投資の各所で今月、激しいリバランスが起こる可能性がある」、「S&P500種の上昇率上位100銘柄の『買い』をポートフォリオとする投資家がこれに従って3月にリバランスすれば、ポートフォリオの入れ替えは少なくとも過去30年間で最大となる見通し」との観測を伝えている。
■益出し目的の売り
例年繰り返されていることではあるが、3月末にかけては国内金融機関などから益出し目的の売りが出やすい。前述したように、売られすぎの局面では反発する場面もあろうが、東京市場は少なくとも月内は軟調な推移が続くのではないだろうか。(2021年3月10日 記)
◆東条麻衣子
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