DXの代表銘柄が自社株取得、株価反発の見極めは(和島英樹)
「明日の好悪材料Next」~第42回
株式ジャーナリスト
日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年にラジオNIKKEIに入社。東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。現在、レギュラー出演している番組に、ラジオNIKKEI「マーケットプレス」、日経CNBC「デイリーフォーカス」毎週水曜日がある。日本テクニカルアナリスト協会評議委員。国際認定テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。
【今回チェックした「明日の好悪材料」記事一覧】
3月5日~11日分では、鳥貴族HD<3193>が厳しい決算と同時に新業態への進出を発表。巣ごもり銘柄で注目のブイキューブ<3681>は自社株買いを実施、ビューティガレージ<3180>は今期予想を最高益に修正などした。
3月5日分 鳥貴族ホールディングス<3193>
■好悪材料~上期経常が赤字転落で着地・11月~1月期も赤字転落。2月既存店売上高は前年同月比67.3%減と前年割れが続いた
焼き鳥の「鳥貴族」を展開。関西圏、首都圏、東海圏でドミナント戦略。全メニュー298円の一律価格に特色がある。
2021年7月期の第2四半期累計(20年8月~21年1月)の業績は、売上高は108億3100万円(前年同期比37.8%減)、営業損益は12億1700万円の赤字(前年同期は13億5800万円の黒字)となった。
発表資料では「新型コロナウイルス感染症の拡大を背景に、20年8月~9月、11月~21年1月に自治体からの営業時間短縮要請があったことなどを踏まえ、対象地域に所在する店舗の営業時間を短縮した」とし、それによる来店客数の減少が響いたかっこうだ。
前回未定としていた21年7月期通期の予想を開示。売上高は227億6900万円、営業損益は19億4100万円の損失を見込む。今第3四半期から連結決算に移行するため、単独だった前期との比較はない。
発表資料では「21年5月以降は各自治体からの時短要請などは限定的なものと想定し、居酒屋業界においても徐々に回復に向かうことを前提」としている。
また、新たな業態として「TORIKI BURGER(トリキバーガー)」始める。鳥貴族と同様に、使用する食材はすべて国産とするチキンバーガー専門店。21年8月の1号店オープンを予定し、3年間で10~20店舗体制を目標としている。
■『株探』プレミアムで確認できる鳥貴族HDの四半期決算の成長性推移
3月8日分 ブイキューブ<3681> ~ ☆テクニカル・チェック銘柄
■好悪材料~発行済み株式数(自社株を除く)の0.61%にあたる15万株(金額で3億円)を上限に自社株買いを実施する。買い付け期間は3月9日~3月31日まで
Web会議やテレビ会議システム「V―CUBE」の提供が主力。遠隔医療やネットでのセミナー支援などにも展開している。
発表資料によれば自己株式の取得を行う理由は「資本効率の向上を通じた株主の皆様への利益還元、および経営環境に応じた機動的な資本政策の遂行図るため」としている。なお、3月9日に今回の取得は終了したと同社は発表している。
同社の株式チャートを、週足の52週線との乖離率でチェックする。移動平均線は13・26・52週線を採用し、プレミア会員読者は3つある週線ボックスの真ん中に52を入れることで52週線乖離率をグラフで閲覧可能になる。
■『株探』プレミアムで確認できるブイキューブの52週移動平均線の乖離率
1年間の株価の平均コストを示す52週線はプラス乖離で、12日時点で約2000円。サポートラインの役割を担いつつある。
短期の13週線をみると下向きに転じ、調整局面を示唆。株価は26週線も下回り、上値は相当に重い印象。新規の買いは入れにくいのが現状だ。
一方、18年12月や19年9月前後には、株価が52週線を割り込む場面が見られるが、この経験則に従えば、いずれも52週線でマイナス乖離に突入した場面が、反発のポイントになっている。
3月9日分 ビューティガレージ <3180>
■好悪材料~今期経常を一転26%増益に上方修正・最高益、未定だった配当は3円増配
理美容室などに機器やシャンプー・トリートメントをはじめとする業務用化粧品を販売する専門商社。アジアなど海外にも展開している。
2021年4月期の第3四半期累計(20年5月~21年1月)決算を発表、同時に通期予想を上方修正し、未定としていた年間配当の予想を3円増配の13円とした。
3Q累計の決算は、売上高134億2600万円(前年同期比16.9%増)、営業利益6億4800万円(同56.3%増)となった。
物販事業では、インターネット通販サイト「BEAUTY GARAGE Online Shop」のUI(ユーザーインターフェース)を改善するなどで、アクティブユーザー数の増加と利用頻度向上施策に注力してきたことなどが奏効した。
通期の売上高は前回予想を7億4200万円上回る186億8900万円(前期比18.8%増)、営業利益は同1億4400万円増額の8億6700万円(同18.9%増)とし、1株利益は85.6円になる見通し。
発表資料では「第2四半期までは新型コロナウイルス感染拡大が美容サロン業界にも大きな影響を与え、当社業績にも相当程度のマイナス影響が出ることを想定していたが、業界流通のデジタル化加速によるプラス影響が大きかった」などと、EC(電子商取引)の貢献を要因に挙げている。
■『株探』プレミアムで確認できるビューティガレージの業績修正履歴
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。