明日の株式相場に向けて=米ファンド損失の波及はあるか
29日の東京株式市場は、後場に入り値の荒い展開となった。権利取り最終日で配当狙いの買いも流入し、日経平均株価は一時400円を超す上昇となったが、その後、午後2時過ぎから売りが膨らみ20円強の上昇まで上げ幅は縮小した。しかし、引けにかけ配当再投資の買いが流入し、結局207円高で取引を終えた。
クレディ・スイスが「米ヘッジファンドが不履行となった」と発表したことを受け、短期筋が売りを出したことが波乱の要因となったようだ。損失を出したのは米投資会社のアルケゴス・キャピタルとみられており、米メディア株などの運用に失敗したとの観測がある。NYダウ先物は軟調に推移しており、同ファンドの損失問題に米株式市場がどう反応するかが関心を集めている。
アナリストからは「損失を被ったヘッジファンドが1社だけなら影響は限られそうだ。ただ、表面化していない複数のファンドが同様に損失を抱えていることもあり得る。とりあえずは、今晩のNY市場の動向が今後の展開を左右することになるだろう」とみている。NY市場が調整するようなら、JR東日本<9020>のようなディフェンシブ株やレノバ<9519>のような調整が進んだ環境関連株に物色のシフトが進むこともあり得る。
明日は日経平均の配当権利落ちが180円前後あり、その分だけ値を下げてスタートすることになる。この権利落ちを埋めることができるかが注目される。更に2月失業率・有効求人倍率が発表される。また、東証マザーズにスパイダープラス<4192>とAppier Group<4180>が新規上場する。特にAppier Groupは台湾発のAIベンチャー企業であり、その株価動向に関心が集まっている。