雨宮京子氏【上値重い日経平均、GWに向けての見通しと勘所】(2) <相場観特集>
―近くて遠い3万円大台、果たして上値追い本番はいつか―
週明け19日の東京市場は、日経平均株価はわずかにプラス圏を維持したとはいえ後半値を消した。下値では買いが厚いものの、企業の決算発表も気になるところで上値の重い展開が続き、3万円大台がなかなか見えてこない。日米首脳会談を通過してマーケットのセンチメントに変化はあるのか。ここからの全体相場の見通しと物色の方向性について、第一線で活躍する市場関係者2人に意見を聞いた。
●「全般模様眺めも、中小型の個別株に活路」
雨宮京子氏(雨宮総研 代表)
日経平均は基本的にボックス圏の推移で、どこかで上放れるタイミングを探ってはいるものの、上値の重さが現状は拭えないでいる。3月決算企業の決算発表がこれから徐々に本格化するが、差し当たっては中国関連株の側面を持つ22日の日本電産 <6594> の決算にマーケットの注目が集まりそうだ。もっとも、これに先立って2月決算企業の安川電機 <6506> が既に決算発表を通過しているが、今2月期55%営業増益という高変化を見込んでいるにもかかわらず、大きく売り込まれたことは投資マインドに警戒感を強く植え付けたことは確か。日電産に限らず、決算発表期間中は主力どころの銘柄に模様眺めムードが出やすいとみている。
日米首脳会談はあまり全体相場に影響を与えている感じはしない。バイデン政権も就任後100日となるハネムーン期間の終了が近づいており、法人増税やキャピタルゲイン課税の話などが取り沙汰されるようになれば、株式市場も荒れ模様となる可能性は否定できない。日経平均のレンジは、もうしばらく強調展開を維持できるとして上値は3万400円前後か。2月16日の年初来高値3万467円奪回はすぐには難しいと考えている。下値については、2万9000円ラインがひとつのフシ目。仮に調整局面に入った場合は75日移動平均線(19日現在で2万9100円近辺)を意識した攻防となりそうだ。
ただ、主力株の動きが重いとしても、個別株物色の動きは旺盛である。政策テーマに見合った中小型株で今期業績回復トレンドにある銘柄を中心に照準を合わせたい。日米首脳会談でも議題に上がった脱炭素や半導体サプライチェーン強化などは物色のヒントとなる。脱炭素関連では水素ステーションや燃料電池車向けセンサーで展開力が増している長野計器 <7715> 。また、半導体周辺では直近IPO銘柄でレーザー光源などを手掛けるオキサイド <6521> [東証M]や独立系半導体メーカーのアオイ電子 <6832> [東証2]などに注目している。このほか、新型コロナウイルスの感染再拡大を背景に、巣ごもり消費関連にも再び光が当たる可能性があり、EC支援ビジネスを展開するいつも <7694> [東証M]に着目。「オートバックス」や「業務スーパー」をフランチャイズ展開するG-7ホールディングス <7508> なども面白い。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
雨宮総研 代表。元カリスマ証券レディとして、日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスター、SBI証券 投資情報部などを経て現在に至る。
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