明日の株式相場に向けて=米経済に“ボトルネック懸念”が台頭
12日の日経平均株価は一時前日比で700円を超す大幅安となった。3月24日安値の2万8405円を下回ったことから、次の下値メドとして1月29日の2万7663円を挙げる声が出ている。
市場の関心は、米国のインフレ懸念に集中している。足もとで米国相場は波乱展開にあるが、あるアナリストは「まず市場で異変が気にされたのは、7日の米4月雇用統計が不振だったことだ」と指摘する。雇用統計が冴えなかったことは、米金融緩和の長期化観測でごまかされた。しかし、「11日に発表された3月のJOLT求人件数は過去最高を記録していた。つまり、求人は潤沢にあるのに雇用は伸びていない。ここに米経済にはボトルネックが存在するという見方が浮上した」と分析する。
この雇用のボトルネックを解消するための解決策として、市場で連想されたのが「賃上げだ」と前出のアナリストはいう。これが賃金上昇からのインフレ懸念に結び付き、株式市場の波乱をもたらす要因となったとみられている。
こうしたなか、今晩は米4月消費者物価指数(CPI)、明日は同卸売物価指数(PPI)と重要な経済指標が発表される。米株式市場は足もとで大きく調整したことから、その内容はいったん置いといて相場は反発することもあるかもしれない。ただ、一度火がついたインフレへの疑念が落ち着くには時間がかかり、当面は神経質な展開が続くことが予想されている。
明日は、東京市場では4月景気ウォッチャー調査が発表される。INPEX<1605>やライト工業<1926>、楽天グループ<4755>、スズキ<7269>、オリックス<8591>、三菱地所<8802>などが決算発表を予定している。