利益成長“青天井”銘柄リスト【総集編】第2弾 35社選出 <成長株特集>
本特集では、4月下旬から5月中旬までの決算発表集中期間に随時配信した「利益成長“青天井"銘柄リスト」を、“全期間”を対象に再構成した総集編をお届けします。今回は6日に配信した時価総額1000億円以上の東証1部銘柄を対象とした【第1弾】に続き、時価総額300億円以上1000億円未満の東証1部銘柄を対象に、21年1-3月期に四半期ベースの過去最高益を更新し、かつ今期も最高益を見込む、いわゆる利益が“青天井”状況になっている銘柄をリストアップした。
下表では、本決算月にかかわらず、1-3月期に経常利益が全四半期ベースの過去最高益を3%以上、上振れて更新した銘柄をピックアップ。さらに、会社側が今期(通期計画)も過去最高益見通しを示している35社を選び出し、1-3月期の過去最高益に対する上振れ率が大きい順に記した。
上振れ率トップとなったのは、インターネット広告専業代理店大手のデジタルホールディングス <2389> 。1-3月期(第1四半期)の経常利益は106億円と過去最高益を2.5倍も上回って着地。金融投資事業でラクスル <4384> の保有株を売却したことによる売却益を計上したことが利益急拡大の要因となった。広告事業の収益性改善や出資先の投資ファンドが保有する米国株式の新規公開に伴う一時金の発生を踏まえ、21年12月期の通期業績予想を上方修正している。
2位のセレス <3696> の1-3月期(第1四半期)は、ポイントを貯めてうまく使う活動“ポイ活”や巣ごもり需要の増加など外部環境の変化を好機として、ポイントサイト「モッピー」の会員数が大きく伸びたうえ、幅広い業種の広告需要を取り込み広告単価が上昇した。また、活況な暗号資産市場を背景に持ち分法適用関連会社ビットバンクの業績が好調だったことも利益拡大に大きく貢献した。
3位に入った不動産テック企業であるSREホールディングス <2980> の1-3月期(第4四半期)はコロナ禍でのデジタルトランスフォーメーション(DX)機運の高まりを追い風に、AIを活用したクラウドサービスやコンサルティングサービスの顧客獲得が伸びた。また、IoT環境を備えた個人向け賃貸マンション「AIFLAT」の収益が急改善したことも業績を押し上げた。
4位にリスト入りした大紀アルミニウム工業所 <5702> の1-3月期(第4四半期)経常利益は前年同期比2.2倍の46.4億円に膨らんだ。主要顧客である自動車メーカーの半導体不足による生産の減少懸念があったものの、影響が軽微だったことに加え、製品と原料の価格差が拡大したことも利益を押し上げた。22年3月期の経常利益は前期比20.8%増の109億円と5期連続の最高益更新を見込む。株価は9日に1994年8月以来、実に約26年10ヵ月ぶりとなる高値圏に浮上する場面があった。
6位のエアトリ <6191> は旅行事業で国内旅行の需要減少に伴う変動費や広告宣伝費の抑制を継続したほか、旅行事業以外の既存事業(訪日旅行事業・Wi-Fiレンタル事業、ITオフショア開発事業、ライフイノベーション事業、ヘルスケア事業、投資事業)がいずれも好調に推移し、1-3月期(第2四半期)は2四半期連続の最高益更新を達成した。5月31日には今期5度目となる21年9月期通期業績予想の上方修正に踏み切っている。
7位の荏原実業 <6328> は新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、陰圧装置をはじめとする感染症対策製品の販売が大きく伸びた。また、水処理関連では上下水道設備の更新案件が増加し、1-3月期(第1四半期)の経常利益は17年ぶりとなる最高益更新を果たした。第1四半期実績(35.7億円)だけで通期計画の36億円にほぼ到達しており、業績上振れは濃厚とみられる。
12位のダブルスタンダード <3925> はビッグデータの活用などによるDXに向けた戦略投資が活発化するなか、主力のデータクレンジング関連サービスとこれに派生するシステム開発の受託が大きく伸び、1-3月期(第4四半期)は売上高、経常利益ともに過去最高を塗り替えた。同時に22年3月期の収益拡大見通しを示したことも評価され、株価は上値追い基調を続けている。
13位の東京エレクトロン デバイス <2760> はデータ通信量の増大や自動車生産の回復を背景に半導体需要が拡大したことに加え、コロナ禍で営業経費が減少したこともプラスに働き、1-3月期(第4四半期)経常利益は過去最高だった前年同期を27.6%上回る20.1億円に伸びた。半導体関連では、半導体基板向け薬品メーカーのメック <4971> が16位、半導体・電子部品商社の加賀電子 <8154> が23位、半導体製造装置向けピラフロン製品を手掛ける日本ピラー工業 <6490> が26位にそれぞれリスト入りしている。
┌─ 四半期 経常利益 ─┐ ┌── 通期 経常利益 ──┐ 予想
コード 銘柄名 上振れ率 1-3月 過去最高 上振れ率 今期予想 過去最高 PER
<2389> デジタルHD 148 10690 4303 240 14800 4358 4.8
<3696> セレス 132 1852 800 43.2 2600 1816 24.0
<2980> SREHD 119 658 301 25.1 1280 1023 114
<5702> 大紀ア 96.1 4640 2366 20.8 10930 9046 6.1
<3681> ブイキューブ 69.8 798 470 125 2300 1020 32.5
<6191> エアトリ 69.7 1230 725 125 2540 1128 38.8
<6328> 荏原実業 58.9 3576 2250 7.0 3600 3363 15.5
<3964> オークネット 50.9 2017 1337 6.9 4558 4263 15.4
<4326> インテージH 48.7 2916 1961 19.5 5250 4392 16.2
<3085> ALサービス 40.0 2186 1561 15.0 5600 4868 23.1
<3040> ソリトン 30.6 1017 779 10.5 2150 1945 20.5
<3925> ダブスタ 29.4 427 330 44.7 1610 1113 32.1
<2760> 東エレデバ 27.6 2013 1578 5.1 5100 4852 13.0
<9739> NSW 27.4 1555 1221 2.4 4340 4240 11.6
<3901> Mラインズ 27.2 332 261 9.7 1050 957 57.3
<4971> メック 26.3 1036 820 34.0 3200 2388 23.5
<9068> 丸全運 23.7 3203 2589 4.9 11000 10490 9.2
<6099> エラン 23.6 739 598 17.3 2520 2148 47.7
<6866> HIOKI 20.3 1459 1213 44.0 4900 3403 20.9
<3176> 三洋貿易 18.8 2182 1836 3.7 6300 6075 8.9
<4726> SBテク 17.4 1520 1295 8.0 4300 3981 23.4
<3916> DIT 15.6 584 505 23.8 1680 1357 27.8
<8154> 加賀電子 14.6 4011 3501 6.8 12000 11241 10.4
<4220> リケンテクノ 14.5 2090 1825 10.8 6500 5869 10.2
<3902> MDV 14.1 453 397 4.5 1200 1148 106
<6490> ピラー 13.4 1937 1708 14.2 6000 5255 12.7
<2130> メンバーズ 12.9 691 612 43.4 1790 1248 35.8
<6340> 渋谷工 11.4 4425 3973 1.4 10500 10352 12.3
<3676> デジハHD 8.1 730 675 5.2 2100 1997 23.7
<3836> アバント 6.9 880 823 9.8 2505 2282 36.4
<3762> テクマト 5.6 1032 977 1.2 3700 3655 27.1
<4423> アルテリア 4.6 2410 2305 5.5 8929 8460 14.3
<3937> Ubicom 4.1 255 245 25.9 1104 877 48.0
<4212> 積水樹 3.8 4145 3994 0.8 11350 11259 11.8
<3844> コムチュア 3.2 923 894 9.6 3500 3192 31.6
※ 2020年1月以降に上場した企業と今期見通しを開示していない企業は除いた。四半期の過去最高益は原則、四半期決算の開示が本格化した2003年4-6月期以降の業績に基づいたものです。
株探ニュース