話題株ピックアップ【夕刊】(2):島津、ソリトン、SUMCO

注目
2021年6月23日 15時14分

■島津製作所 <7701>  4,245円  +80 円 (+1.9%)  本日終値

島津製作所<7701>が続伸。同社は22日、少量の血液からアルツハイマー病の原因物質とされるたんぱく質を検出する分析装置を発売したと発表しており、これが好材料視された。「血中アミロイドペプチド測定システム Amyloid MS CL」(アミロイドMS CL)は、アルツハイマー型認知症の特徴であるアミロイド斑の主要成分である、血中のアミロイドペプチドを測定し、アミロイドβ(同疾患の原因と見られるたんぱく質)に関連するバイオマーカー値を提示する製品。従来からある陽電子放出断層撮影(PET)イメージングや脳脊髄液(CSF)検査とは異なり、被験者の負担が小さい検査を実現するとしている。

■ソリトンシステムズ <3040>  1,660円  +27 円 (+1.7%)  本日終値

ソリトンシステムズ<3040>が続伸。午前11時ごろ、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募していた「AIチップ開発加速のためのイノベーション推進事業/AIチップに関するアイディア実用化に向けた開発」に、同社の「再構成可能なアナログニューロン回路を用いた超低消費電力AIチップの開発」の提案が採択されたと発表しており、これが好感された。現在、人工知能(AI)の活用には現場で推論して答えを出すエッジAIとクラウドで推論を行うクラウドAIの2通りがあるが、同社が今回開発するアナログエッジAIチップは、エッジ側に搭載され、超低消費電力かつ高速で推論処理を行うという。これにより、IoT機器の音声・ジェスチャーによる制御、機器・インフラの故障検知、生体センサーと統合した体調不良の検出、ロボット制御、自動運転・ドローン制御など幅広い分野のエッジ側で高度な知的機能を付加することが可能になるとしている。なお、同社では23年度の商品化を目指すとしている。

■SUMCO <3436>  2,673円  +41 円 (+1.6%)  本日終値

SUMCO<3436>、信越化学工業<4063>など半導体シリコンウエハー大手が買い優勢となったほか、ルネサスエレクトロニクス<6723>など車載マイコンメーカーや、半導体検査装置を製造するアドバンテスト<6857>なども堅調な値動き。半導体周辺株に投資資金が流入している。前日の米国株市場ではエヌビディア<NVDA>、ザイリンクス<XLNX>が2%前後の上昇をみせたほか、マイクロンテクノロジー<MU>なども上昇し、半導体銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も続伸となった。東京市場では、前日のリスクオン相場の反動で上値が重くなっているとはいえ、きょうは為替がドル高・円安方向に振れていることもあり、半導体セクターには根強い買いが観測されている。

■川崎汽船 <9107>  3,890円  +40 円 (+1.0%)  本日終値

川崎汽船<9107>が年初来高値を更新。22日の取引終了後、22年3月期の連結業績予想について、純利益を350億円から1900億円(前期比74.8%増)へ上方修正しており、一転増益見通しとなったことが好感されたようだ。想定を上回る旺盛な貨物需要や市況を背景に、日本郵船<9101>と商船三井<9104>の3社で共同出資するコンテナ船会社オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE社)の業績などが利益押し上げに貢献した。

■テクマトリックス <3762>  1,776円  +12 円 (+0.7%)  本日終値

テクマトリックス<3762>が続伸。22日の取引終了後、同社の「FINCAD CVA 計測サービス」を日本政策投資銀行(東京都千代田区)が導入したと発表しており、これが好材料視された。「FINCAD CVA 計測サービス」はテクマトリックスがCVA(取引相手先の信用リスク)計測を行い、定期的に結果レポートを提供するサービス。CVA計測における実績が豊富にあることに加えて、データの受け渡し方法などを同行の既存システムに合わせて調整できることなどが評価されたとしている。

■サイボウズ <4776>  2,310円  -275 円 (-10.6%)  本日終値  東証1部 下落率トップ

サイボウズ<4776>は急反落。22日の取引終了後、21年12月期の連結業績予想について、営業利益を10億3400万円から3億2900万円(前期比85.5%減)へ、最終損益を1億900万円の黒字から4億1300万円の赤字(前期14億3500万円の黒字)へ下方修正した。最終損益が一転赤字の見通しとなったことから、これを嫌気した売りが出たようだ。業務改善プラットフォーム「kintone」のテレビコマーシャルを中心に、広告宣伝への追加投資を行うことが主な要因。なお、売上高は当初の予定通り堅調に推移していることから、前期比17.0%増の183億4500万円の見通しを据え置いた。

■ツルハホールディングス <3391>  13,210円  -850 円 (-6.1%)  本日終値  東証1部 下落率3位

ツルハホールディングス<3391>が急反落。同社は22日取引終了後に決算を発表し、21年5月期の連結営業利益は前期比7.5%増の483億7700万円となったことを明らかにした。同時に公表された22年5月期の同利益は512億円の見込み。市場コンセンサスでは、今期は530億円前後の利益が予想されていたことから失望売りが膨らんでいる。

■トヨタ自動車 <7203>  9,782円  -178 円 (-1.8%)  本日終値

トヨタ自動車<7203>は反落、前日の大幅高の反動でやや売りに押される展開を強いられているが、1万円大台復帰を意識した展開が続く。株価は前週15日に初の1万円大台乗せとなったものの、その後の波乱相場で値を崩し、9500円近辺まで水準を切り下げた。しかし、25日移動平均線に接触することなくリバウンドに転じる強さをみせた。前日は全体相場が全面高で切り返すなか、売買代金でもソフトバンクグループ<9984>を僅差で押さえ、東証1部トップとなるなどマーケットの注目度の高さを証明した。きょうは、米国株続伸に加え、外国為替市場で1ドル=110円台後半の推移と円安方向に振れていることがポジティブ材料となる。

■三菱UFJ <8306>  601円  -4.3 円 (-0.7%)  本日終値

三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>、三井住友フィナンシャルグループ<8316>などメガバンクが軟調、大手生保の第一生命ホールディングス<8750>も冴えない展開を強いられている。前日のパウエルFRB議長の議会証言では、インフレ率の上昇について従来通り一過性であるとの認識を示し、これが早期利上げに対する過度な不安の後退につながった。米10年債利回りは終値ベースで1.43%台まで低下した。前日の米国株市場では主要株指数が揃って上昇するなか、長期金利低下に伴う運用利ザヤの縮小思惑からゴールドマン・サックス・グループ<GS>、JPモルガン・チェース<JPM>などの大手金融株が軟調な動きをみせた。東京市場でも米国事業を展開するメガバンクや生保株には目先利益確定を促す材料となっている。

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