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大きな凹み、そしてリターンの取り逃がしがあっても1.3億円稼いだ技-下

特集
2021年7月2日 10時00分

第23 -2回 強い投資家はどんな人~日本株投資家3900人調査で解明!(ケーススタディ編)

登場する銘柄

ビジョン<9416>、オープンドア<3826>、ユニバーサルエンターテインメント<6425>

取材/真弓重孝・高山英聖、編集・構成/真弓重孝(株探編集部)

タコタコさん(ハンドルネーム・40代・男性・兼業投資家)
【タイトル】 日本株運用資産 1億4500万円
累積投資元本 1800万円
累積リターン 1億2700万円
投資スタイル 収益バリュー重視
主な保有期間 1カ月~3年
保有銘柄数 60~70銘柄
投資開始年 2012年(日本の個別株)
他の投資対象 米国株、シンガポールREIT
自身の性格分析 安定志向
好きな言葉 心の安定
タコタコさんとは:兼業投資家。昼間は大手系列のシステム開発メーカーで働きながら、
株式投資を行う。
投資歴は21年と長いが、日本の個別株投資の経験は後半の約10年間だけ。
2000年の大学時代に投資を始めた頃は、国内投資信託、その後まもなく海外投資に
シフトして以降、アベノミクス相場まで海外投資で資産を増やした経歴の持ち主。
海外・国内いずれもスタンスは安定運用を心掛けている。
元本は約20年間で年150万円のペースで積み上げてきた。

前回の記事を見る

「安定感」をいう軸を保ちつつ投資法を広げて、億の資産を築いたタコタコさん(ハンドルネーム・40代・男性)。前回は銘柄選別の手順と一部の取引事例を紹介した。

ボラティリティー(株価の変動率)が小さく業績及び財務が安定している銘柄への分散投資をベースにしつつ、コロナショックなどでマーケット全体が崩れた時には、その反発局面で株価の上昇幅が大きそうな銘柄に一部シフトして逆張り戦略を駆使する。

臨機応変に対応する中では、「分散」「業績・財務の安定性」という軸は守り抜き、リスクヘッジする。

タコタコさんの投資手法は、変えないものと変えるものを組み合わせた「不易流行スタイル」で資産を拡大していくのが特徴だ。

今回は、まずコロナ相場で勝ち取った旅行セクターの成功事例と着眼点について紹介する。そして不易流行スタイルを築くきっかけになった"イタい"エピソードにも触れる。

旅行セクターで短中期リターン獲得

コロナ相場で入れ替えた銘柄は、ショック直後だけではない。日経平均株価が底を打った20年3月から数カ月後、狙いを定めたのが旅行セクターだ。

人の移動制限によってその他業種より甚大なダメージを負った旅行関連銘柄は、経済活動が正常化すれば、その後の回復のギャップも大きいと見た。

「これ以上株価が下がらないと思える水準で買っておけば、いつかは報われるだろう」(タコタコさん)

投資した銘柄が、

旅行者向けWi-Fiレンタルを手掛けるビジョン<9416>

旅行比較サイト「トラベルコ」を運営するオープンドア<3926>だ。

新型コロナウイルスのワクチン供給の報道を見ながら需給をある程度予測できたことが奏功した。

■ビジョン株とオープンドア株の売買事例

銘柄
<コード>
購入開始
時期
購入時の
株価
利確時期 利確時の
株価
リターン
ビジョン
<9416>
1回目 2020年7月 700円前後 2020年11月 1000円台 100万円
2回目 2021年1月 1000円前後 2021年2月 1200円台 100万円
オープンドア
<3826>
2020年11月 1200円前後 2021年1月 2500円前後 200万円
注:オープンドア株は株主優待の最低単元のみ保有中

ビジョン、自己資本比率70%なら「不況に耐えられる」

ビジョン<9416>は20年7月に700円前後で拾った。数ある旅行関連の中でも、同社に着目した理由が財務の安定性だ。

19年12月期時点の自己資本比率は71.7%と高水準。「コロナの不況も持ちこたえられるだろう」と見た。さらにROE(自己資本利益率)も21.5%と低くはない。

コロナ禍で経済活動が停滞し、当時足元の20年4~6月期の四半期営業利益は▲5億円となった(▲はマイナス)。しかしタコタコさんは、この事をむしろプラスに捉えた。

「最悪期でこの程度なら、しばらく財務面の問題はないのでは」

前向きな材料は他にもあった。主力のグローバルWi-Fi事業において、コスト削減が進んでいることや、テレワーク対応ニーズの高まりなどに期待した面もあった。

見立ては的中し、株価が急上昇。購入時に700円台だった株価は3~4カ月後に1000円を超えた。20年11月、1000円台で利確して100万円のリターンを得たという。

同社株の業績は足元も減収減益が続くものの、徐々にマイナス幅は狭まっている。こうした業績の改善傾向、そして回復期待から株価が押し上げられた可能性がある。

■ビジョンの日足チャート(2020年2月~21年6月)

【タイトル】

注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同

ビジョン<9416>株については、その後も買い戻してさらに数十万円のリターンを得ている。

買い戻した時期は、1回目の利確から2カ月後の今年1月。その理由は、旅行関連銘柄の一部の株価が上昇しているのを見て、ビジョン株も出遅れる形で上がると見たのだ。

この頃、ビジョンなどの旅行関連銘柄が動意づいたのは、米ファイザー<PFE>製品をはじめとする新型コロナウイルス向けワクチンの接種が海外で広がり始めたことに関係する、とタコタコさんは判断した。

2回目の購入は1000円ほどで、利確は2カ月後の今年3月、1200円に上振れたタイミングだった。

旅行セクターで出遅れていたオープンドア株でも成功

旅行関連では、ビジョンのほかに旅行比較サイト運営のオープンドア<3926>でも利益を上げた。

同社株に目を付けたのは、20年3月期の自己資本比率が90.8%と、先のビジョンと同じく財務が安定し、倒産リスクは低いと見たためだ。

購入時期は、米国でのワクチン接種開始の報道が出始めた20年11月頃で、株価は1200円前後だった。すると年明けの21年1月に急上昇し、株価は2倍に膨らんだ。

ちょうど2500円をつけたタイミングで利確し、200万円のリターンを得た。現在、株主優待商品がもらえる最低単元のみ保有している。

■オープンドアの日足チャート(20年2月~21年6月)

【タイトル】

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。

次ページ 不易流行スタイルにたどり着いた、あるエピソードとは

 

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