明日の株式相場に向けて=東証2部が「宝の山」モードに

市況
2021年7月7日 17時00分

きょう(7日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比276円安の2万8366円と反落。寄り後2分後に482円安まで突っ込んだところではどうなるかと思われたが、そこが本日の安値となった。その後も一貫して下げ渋ったわけではないにせよ、大引けは寄り付きよりも高い位置で引け、日足陽線を形成したのは一筋の光明ではある。「SQ前の魔の水曜日」をこの程度で通過できたのはよかったが、米国では前日もナスダック総合指数は過去最高値を更新していたわけだから、日本株ももう少し奮起してほしいところだ。

江戸時代から伝わる相場格言で「引かれ腰は弱く、利食い腰は強く」という言葉がある。例えば、投資している株が思惑を外して買い値を下回ってしまい含み損を抱えてしまった時、人間心理として少し置いておけば切り返すだろうからその時まで「待つ」という選択肢を採りやすい。しかし、俗に言う“ヤレヤレ売り”を目指した時点で、既に勝負には負けてしまっている。そして、先延ばしにするほど傷は深くなるケースが多い。含み損を抱えたら、悶々とする時間そのものが敵となりやすく、早めに処分するのが正しい選択肢となる。

一方、狙い通りに買った株が首尾よく上昇した場合はどうか。強力な買いの根拠があったにもかかわらず、買い値を5%でも上回ればさっさと回収(キャッシュ化)してしまう。“利食い千人力”という言葉もあるだけに、これはこれで基本的に間違いとはいえないが、利が乗っている時こそ余裕を持つことが大事で、時間を味方につけるチャンスとなる。自分なりに十分利益を確保したと満足できるところまで資金を寝かしておけるかどうか、これが蛮勇ではない本当の勇気ともいえる。ところが実際は真逆で、人間の欲望は引かれ腰を強くし、利食い腰を弱い方向へと誘導してしまう。

ただし、急動意している銘柄については違った視点も求められる。現在の株式市場では個別株単位でもマーケットを闊歩する人工知能(AI)の影響を受け、勢いよく上がった銘柄もあっという間に踵(きびす)を返し、何も状況は変わってないのに信じられないスピードで落ちてくるケースが少なくない。利益が倍化するといったファンダメンタルズ面からのアプローチがあれば別だが、思惑先行でマドを開けて買われるようなケースでは、十中八九そのマドを埋めに来ると考えておいた方がよい。したがって急騰株への投資など短期トレードの場合は、株価を上昇させている背景・理由を把握したうえで欲張らないのが鉄則だが、そうであればなおさら下値に対してはもっと早い時間軸で見切りをつける必要がある。一番まずいのは、短期の利ザヤを期待したのに思惑を外し引かされた時に、漫然と中長期投資に切り替えるパターンである。同じ株式市場と対峙するのでも、トレードと投資は別次元であるということを常に念頭に置いておくことが大切だ。

きょうは週足では、デッドクロスする13週・26週線を日経平均が下放れた格好となっているが、相対的に強い波動を維持しているのが東証2部指数だ。2部市場は非常に割安放置されている銘柄が多く、ひとたび資金が流れ込むと物色人気が横に広がり意外な「宝の山効果」を発揮する。個別株戦略も今は2部株に優位性がある。6月中旬に取り上げたバイク王&カンパニー<3377>はここにきて需給相場が加速したが、同社株も2部上場である。

豪雨被害に絡む有望株を探すのは本意ではないが、例えば天災に絡み収益機会が発生する銘柄はサイバー攻撃が活発化した時にサイバーセキュリティー関連株が注目されるのと理屈的には近いものがある。2部銘柄では測量土木大手でドローン関連でもあるアジア航測<9233>に着目したい。また、タケエイ<2151>と10月に統合予定にある金属リサイクル大手のリバーホールディングス<5690>も東証2部の割安株の範疇に含まれる。

更に、中古車、中古バイク市場の活況にあやかってというわけではないが中古ブランド品販売を手掛けるコメ兵ホールディングス<2780>も2部株であり、22年3月期業績見通しは絶好調なだけに、25日移動平均線を足場に切り返して不思議はない。500円未満の中低位株ではマンション開発を手掛けるセントラル総合開発<3238>に目を配っておきたい。典型的な2部の割安放置株でありPER6倍、PBRは0.4倍台である。

あすのスケジュールでは、6月の景気ウォッチャー調査、6月のオフィス空室率など。また、東証マザーズ市場にコラントッテ<7792>が新規上場する。海外では5月の米信用残高が発表される。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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