S&P500 月例レポート ― 7月は最高値を7回更新、経済再開が焦点に (3) ―

市況
2021年8月12日 13時31分

●企業業績

○これまでに、S&P 500指数構成銘柄のうち294銘柄が2021年第2四半期の決算発表を終え、このうち利益が予想を上回ったのは258銘柄(87.8%)、予想を下回ったのは27銘柄、予想通りだったのは9銘柄でした。また、売上高に関しては293銘柄中259銘柄(88.4%)で予想を上回りました。2021年第2四半期の利益予想は1年前(2020年第2四半期末)から29.1%、2021年第2四半期末(2021年6月30日)から11.0%、それぞれ上方修正されています。第2四半期は最高益を更新する見通しで、過去最高となった2021年第1四半期から3.4%の増益、(新型コロナウイルスの影響を受けた)2020年第2四半期から82.9%の増益が見込まれています。

⇒2021年については過去最高益を更新する見通しで、2020年比で59.3%増益が見込まれており、2021年の予想PERは22.6倍となっています。

⇒2022年は2021年比でさらに10.1%の増益と、再度の最高益更新が見込まれており、2022年の予想PERは20.5倍となっています。

⇒2021年第2四半期の決算発表を終えた銘柄のうち、株式数の減少によってEPSが前年同期比で4%以上押し上げられた銘柄の割合は4.9%となりました(2021年第1四半期は5.8%、2020年第2四半期は17.8%、2019年第2四半期は24.2%)。

●個別銘柄

○米国は100億ドル規模のクラウドプロジェクト「JEDI」(Joint Enterprise Defense Infrastructure:ジェダイ=国防総省のクラウド・コンピューティング・システムに整備計画)に関して、ソフトウエア企業のマイクロソフト<MSFT>との契約を解約しましたが、同社は今後の入札への意欲を示しました(アマゾン・ドット・コム<AMZN>はマイクロソフトが契約を獲得したことを受け、同社を訴えていました)。

○S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスはヘルスケア企業のモデルナ<MRNA>をS&P 500指数に採用し、アストラゼネカADR<AZN>に買収された同業のアレクション・ファーマシューティカルズ<ALXN>を同指数から除外しました。

●注目点

○企業向けにテクノロジーサービスを提供する米国企業Kaseyaのソフトウエアを媒介としたサイバー攻撃が発生し、7000万ドルのランサム(身代金)が要求されました。ロシアのハッカー集団の関与が疑われるランサムウエアの被害は世界中に広がった模様で、まさに「ロシアより愛をこめて」です。

●利回り、金利、コモディティ

○米国10年国債利回りは6月末の1.47%から1.23%に低下して月を終えました(2020年末は0.92%、2019年末は1.92%、2018年末は2.69%、2017年末は2.41%)。30年国債利回りは6月末の2.09%から1.90%に低下して取引を終えました(同1.65%、同2.30%、同3.02%、同3.05%)。

○英ポンドは6月末の1ポンド=1.3838ドルから1.3906ドルに上昇し(同1.3673ドル、同1.3253ドル、同1.2754ドル、同1.3498ドル)、ユーロは6月末の1ユーロ=1.1856ドルから1.1869ドルに上昇しました(同1.2182ドル、同1.1172ドル、同1.1461ドル、同1.2000ドル)。円は6月末の1ドル=111.14円から109.69円に上昇し(同103.24円、同108.76円、同109.58円、同112.68円)、人民元は6月末の1ドル=6.4572元から6.4615元に下落しました(同6.5330元、同6.9633元、同6.8785元、同6.5030元)。

○原油価格は6月末の1バレル=73.50ドルから73.68ドルに上昇して月を終えました(同48.42ドル、同61.21ドル、同45.81ドル、同60.09ドル)。米国のガソリン価格(EIAによる全等級)は、6月末の1ガロン=3.185ドルから3.232ドルに上昇して月末を迎えました(同2.330ドル、同2.658ドル、同2.358ドル、同2.589ドル)。

○金価格は6月末の1トロイオンス=1768.10ドルから上昇して1816.80ドルで月の取引を終えました(同1901.60ドル、同1520.00ドル、同1284.70ドル、同1305.00ドル)。

○VIX恐怖指数は6月末の15.83から18.24に上昇して月を終えました。月中の最高は25.09、最低は14.25でした(同22.75、同13.78、同16.12、同11.05)。

⇒同指数の2020年の最高は85.47、最低は11.75でした。

※「7月は最高値を7回更新、経済再開が焦点に (4)」へ続く

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