植草一秀の「金融変動水先案内」 -彼我の落差を考える-
第64回 彼我の落差を考える
●Event201
昨年1月に始動したコロナ大騒動が息切れ状態に移行する気配を示し始めています。この騒動の予行演習は一昨年10月18日にニューヨーク・マンハッタンの高級ホテル「ザ・ピエール」で実施されました。「Event201」と題するものです。ネット上にダイジェスト動画が公開されているので、閲覧されることをお勧めします(検索ワードは「コロナ・コンスピラシー」)。WHO(世界保健機関)、CDC(米疾病予防管理センター)、CCDC(中国疾病予防管理センター)、ジョンズ・ホプキンス大学などが参画しています。主催はダボス会議のワールド・フォーラムで最大の資金提供者はビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団と見られています。同財団はワクチンメーカーへの最大の出資者でもあります。
コロナパンデミック最大の直接的な目的はワクチン利権にあると思われます。全世界でワクチンの公費接種が実現すれば、どれだけの売上、利益が計上されるのでしょうか。その一部を政界、学界、メディア、各種発言者に配分しても十分に採算が取れるはずです。
日本のコロナ陽性者数は全人口の0.8%に過ぎません。しかも、その多くが無症状の陽性者です。コロナ治療薬は症状のある陽性者にしか投与されません。投与できる対象は全人口の1%にも満たないのです。これに対して公費でワクチン接種を行えば、人口の100%分の売上を計上することができます。しかも、買い手が列を作る状況下で売り手は勿体ぶって提供するのですから、これほど美味しいビジネスは考えようもありません。
●コロナとの共存
新型コロナワクチンは新種の遺伝子ワクチンで長期的な悪影響のリスクを払拭できません。日本でのワクチン接種人数(1回以上接種)は7月29日時点で4827万人。他方、接種後急死者数は7月30日までで919人。重篤化した人数は7月25日時点で3338人です。急死確率は0.0019%。重篤化確率は0.007%です。日本のコロナ死者1万5330人は全人口の0.012%。これがコロナで死亡した確率です。ワクチン接種で重篤化した比率とあまり変わりません。
死亡事例、重篤化事例のほとんどが「ワクチンとの因果関係なし」と認定されていません。「因果関係あり」とも認定されていないのですが、因果関係が否定されてはいないのです。新型コロナワクチン接種者4827万人で919人死亡は、2018-19年シーズンの季節性インフルエンザワクチン接種者5251万人で3人死亡と比較して明らかに異様な数値です。
一人の命は地球よりも重いと言われるのに、千人近いワクチン接種後急死者の情報がほとんど流布されません。他方で、ワクチンデマというレッテル貼りが横行しています。ワクチン販売促進に賭ける情熱は驚くべき熱量だと言えるでしょう。
コロナ感染症に対する治療方法が確立されるにしたがって重篤化率、致死率は明らかに低下しています。実用化されている治療薬の開発、普及に注力することが求められています。日本におけるコロナ死者数は関連死を含めて季節性インフルエンザと同水準です。感染予防策、治療薬によってコロナと共存することが可能であることが示唆されています。
●迷走する日本
日本でコロナが大騒動になっている原因は、コロナを扱う医療機関の窓口が著しく制限され、過大な恐怖心が煽られてきたからだと考えられます。季節性インフルエンザと同様にすべての医療機関での対応を可能にし、中等症以上の患者は全員の入院を保証、軽症患者もすべて宿泊療養できる体制を確保し、費用をすべて公費負担にすれば医療崩壊を回避できます。
ところが、日本ではコロナ対応を指定医療機関に限定したにもかかわらず、十分な病床を確保してこなかったために重大な医療崩壊の危機に直面しています。菅内閣が五輪開催を強行したために、市民の行動抑制のたがが外れました。酒類提供、深夜営業事業者への締め付けが破綻して、酒類提供・深夜営業の事業者が激増するに至りました。
7月22日からの4連休を利用しての民族大移動が放置された結果、首都圏の感染爆発が8月中旬から全国に拡散しています。医療崩壊の危機が迫っておりますので、さらに強い行動抑制措置が検討されることになるでしょう。
このため日本経済の低迷が長期化する可能性が高まっています。OECD(経済協力開発機構)やIMF(国際通貨基金)の見通しでも日本の成長率見通しが著しく低く提示されています。この日本の特殊事情を反映して日本株は本年2月以降ダウントレンドを形成しています。これに対して欧米の株価は足下で堅調さを強めています。NYダウは3万5500ドル台に乗せました。彼我の落差は極めて大きなものになっています。
●事態好転の条件
感染拡大第5波でとりわけ感染者が急増しているのは日本です。菅内閣が人流拡大を推進してしまった影響が大きいと言えます。それでも死者数は1月の感染第3波と比較して著しく抑制されています。ウイルスの変異に伴い、感染力は増大しますが毒性は低下する傾向があるとも考えられます。
欧米で株価が堅調な推移を示し始めたのは、コロナの先行きが不透明から薄日に転じていることが理由だと考えられます。今後のウイルス変異で強毒化するリスクを完全に否定はできませんし、現在のコロナウイルスとは別の重大な新種ウイルスが出現しないとも限りませんので、手放しの楽観は許されませんが、現在の趨勢が続く場合には、徐々にコロナへの警戒が和らぐ可能性が見え始めたのではないでしょうか。
振り返ると、昨年3月に世界の株価は急落しましたが、その後の反発は驚くべきものでした。株式市場には先を見通す能力が秘められているとも言えます。欧米での堅調な株価はポストコロナの薄明かりを暗示しているのかも知れません。
この流れに取り残されているのが日本ですが、コロナ政策対応を根底から改変するなら、日本にも同じ薄明かりが灯ることになるでしょう。8月から11月にかけて、日本は政治の季節に突入します。これまでのコロナ大失政を刷新することができるなら、先行きに明るい期待を持つことも可能になると思われます。
(2021年8月13日記/次回は8月28日配信予定)
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