新興市場見通し:波乱の芽残るも徐々に改善期待、IPOでは3週ぶり上場

市況
2021年8月14日 14時32分

今週の新興市場では、マザーズ指数が6週ぶりに上昇したものの、週後半の失速で上げ幅は限定的となった。3連休明けは年初来安値1040.58pt(取引時間中)に迫る1050pt近辺で押し目買いが入り、5日移動平均線を上回る場面があった。人気銘柄の急落に一服感が出て、追い証(追加担保の差し入れ義務)発生に絡んだ売りへの懸念も和らいだとみられる。ただ、週後半になると戻り待ちの売りに押される銘柄が出てきて、メルカリ<4385>が決算発表後に売られたこともマザーズ指数を押し下げた。なお、週間の騰落率は、日経平均が+0.6%であったのに対して、マザーズ指数は+0.4%、日経ジャスダック平均は+1.5%だった。

個別では、マザーズ時価総額上位のメルカリが週間で3.8%安。前期黒字化したが、今後成長投資を続ける姿勢を示しているほか、米流通総額目標の伸び鈍化をネガティブ視する声もあった。週末に決算発表が控えていたフリー<4478>も同5.6%安と軟調。売買代金上位では、連日で年初来安値を更新したBASE<4477>のほか、日本電解<5759>やベイシス<4068>が大きく売られた。また、メイホーHD<7369>などが週間のマザーズ下落率上位に顔を出した。一方、ビジョナル<4194>が同4.0%高、Appier Group<4180>が同5.2%高と堅調。Enjin<7370>などが大きく買われ、フォースタートアップス<7089>は前の週から決算を好感した買いが続き、上昇率トップとなった。ジャスダック主力では、業績上方修正の日本マクドナルドHD<2702>が同1.2%高、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同3.2%高と堅調。売買代金上位では東洋合成工業<4970>やフルヤ金属<7826>が大幅に上昇し、ランシステム<3326>は週間で2倍近くとなった。一方、シンバイオ製薬<4582>やウエストHD<1407>はやや売り優勢となり、クルーズ<2138>などが下落率上位に顔を出した。

来週の新興市場では、なお波乱の芽が残るとみておきたい。今週末にかけても急落銘柄が多く出ており、信用評価損益は悪化傾向が続いている。個人投資家のセンチメントや資金余力の本格的な回復はまだ期待しにくいだろう。もっとも、今週は押し目買い意欲の根強さも確認でき、マザーズ指数を下支えしている。また、今週後半などは再び大型バリュー(割安)株に個人投資家の買いが向かっていたが、米市場動向などを踏まえれば循環物色の流れとなりそうだ。決算発表一巡に伴いあく抜けが意識される可能性もある。

来週は、8月16日にジモティー<7082>、19日に北川精機<6327>などが決算発表を予定している。今週末発表の決算ではフェローテックHD<6890>などが好印象。また、決算を受けた投資判断・目標株価見直しの動きも増えており、今週はJMDC<4483>やハーモニック、東洋合成などで観測されている。決算評価の高かったAppierなどにも注目したい。

IPO関連では、8月20日にフューチャーリンクネットワーク<9241>とシイエヌエス<4076>がマザーズへ新規上場する。3週間ぶりのIPOとあって積極的な取引参加に期待したいところだが、7月下旬から直近IPO銘柄が相次ぎ急落し、個人投資家の初値買いスタンスへの影響が懸念される。なお、今週はGeolocation Technology<4018>(9月13日、福証Q-Board)の新規上場が発表されている。

《FA》

提供:フィスコ

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