来週の株式相場に向けて=割安サイン点灯も買い手不在が課題
日経平均株価は週末20日に一時、2万7000円割れまで下落し年初来安値を更新した。今週はアフガニスタン情勢の緊迫化や、国内での新型コロナウイルスの新規感染者2万5000人超えなどで警戒感が強まるなか、「トヨタ自動車<7203>の9月の世界生産の4割減というとどめの悪材料で新安値まで売り込まれた」(市場関係者)格好だ。
日経平均株価は7カ月半ぶりの安値水準となった。これに伴い、足もとの予想連結PERは12.6倍近辺に下落。25日移動平均の騰落レシオも76%と「売られ過ぎ」の80%以下の水準に低下している。これをみれば株価は目先、値頃感からの買いが入ってもおかしくない状況にある。
ただ、問題は「日本株は買い手不在の状況」(アナリスト)が続くことだ。今秋の衆院選を控え政局不安が残るなか、海外投資家を含め積極的な買いを入れるのは手控えられる状況にある。特に、22日の横浜市長選の結果次第では菅政権の基盤が一段と揺らぐことにもつながりかねない。
来週の焦点は26~28日に開催される米国のジャクソンホール会議だ。なかでも、27日に予定されているパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演でテーパリング(量的緩和縮小)に関する姿勢が明確になれば、不透明感が払拭され全体相場には目先のあく抜け感が出てくるかもしれない。
来週は海外では23日に米7月中古住宅販売件数、26日に米4~6月期国内総生産(GDP)改定値が発表される。国内では24日から来月5日までの予定で東京パラリンピックが開催される。27日に東証マザーズにジェイフロンティア<2934>が新規上場する。来週の日経平均株価の予想レンジは、2万6800~2万7500円。反発を模索する局面だが、上値では売りが出てくる展開が予想される。(岡里英幸)