【村瀬智一が斬る!深層マーケット】 ─テーマ性の高い銘柄などへ個人主体の資金が向かいやすい

市況
2021年8月28日 8時00分

「テーマ性の高い銘柄などへ個人主体の資金が向かいやすい」

●しばらくは積極的にはポジションを傾けづらい需給状況に

日経平均株価は一時の2万7000円割れという危うい状況から、足元では自律反発をみせている。しかし、もう少し長い目で見ると、2月以降は調整トレンドが継続している格好だ。チャート形状では52週移動平均線水準で底堅さがみられるものの、切り下がる13週、26週線が上値抵抗として意識されているため、リバウンド機運は高まりづらい。また、米国の金融政策の行方を見極めたいとのムードに加え、アフガニスタン情勢を巡る地政学リスクに対する警戒感も手掛けづらくさせている。国内では自民党総裁選の日程が決まったことで、9月29日の投開票までは、政局に関する報道などの影響も受けやすくなりそうだ。

また、9月2週(10日)にメジャーSQを控えていることもあり、積極的にはポジションを傾けづらい需給状況が続くことになろう。そんな中、しばらくは政権運営の不透明感を払拭するうえでも、経済対策などへの思惑は高まりやすくなる。コロナ対策はもとより、脱炭素などの動きも改めて意識され、個人主体の資金はテーマ性の高い銘柄へ向かいやすいと考えられる。また、マザーズ指数は1000ポイント割れまで売り込まれたが、需給調整が一巡し足元ではリバウンド基調が続いており、材料性のある中小型株などを見直す動きも意識されそうだ。

●来週の活躍期待「注目5銘柄」

◆チエル <3933> [JQ]

ICT(情報通信技術)を活用し、オンラインでの教育支援システムを提供。小・中学校から高校・大学向けの授業改善に役立つ学習システムや教材、運用管理システム、セキュリティシステムなどをサポートする。学校や学習塾といった教育施設での新型コロナウイルスのクラスター発生が増えており、遠隔教育などの対策が重要性を増していることもあって、関連銘柄の一角として注目される。株価は7月安値の1068円をボトムにリバウンドをみせ、2月高値を窺う展開を想定する。

◆タムラ製作所 <6768>

「車載」「パワーエレクトロニクス」「IoT・次世代通信」分野をターゲットに、電子部品や電子化学実装製品を手掛ける。6月には同社などが出資するノベルクリスタルテクノロジーが、次世代半導体材料である酸化ガリウムのウエハー量産に成功したと伝わり、ストップ高を交えての急伸となった。その後は高値保ち合いとなり、8月以降は調整トレンドが継続している。高値からの半値押しを経て、見直し買いが入りやすい水準にある。

◆マツモトキヨシホールディングス <3088>

ドラッグストア大手。足元ではマスクや除菌関連などの特需が落ち着く一方、店舗の大半が通常営業に戻っており、売り上げは回復基調にある。また、調剤事業は新型コロナウイルスによる影響があるものの、医療機関での受診抑制は緩和の傾向がみられる。そのほか、ココカラファインとの統合効果に対しては業績寄与への期待は大きい。株価は年初以降、5200円水準が上値抵抗となる一方で、徐々に下値を切り上げており、煮詰まり感が台頭。

◆テクノプロ・ホールディングス <6028>

技術系人材サービス企業。国内最大規模の技術系人材を正社員として無期雇用しており、自動車や産業機械、情報通信機器、IT、半導体、エネルギーなどの関連企業に対して、技術者派遣、請負・受託サービスを提供する。日本は他国と比べて技術者を自社で抱えず、外部委託(アウトソース)する割合が高い。デジタル化でも遅れており、企業のICT投資の拡大が同社への追い風となろう。株価は8月安値をボトムにリバウンドが続いており、需給状況は良好である。

◆新光電気工業 <6967>

半導体パッケージ領域において、基板やリードフレーム、ICチップをパッケージに実装するIC組立などを手掛ける。足元ではパソコンやサーバー向けにフリップチップタイプパッケージが好調なほか、自動車市場の回復などを背景にリードフレームが大幅に伸びている。第1四半期決算の発表時に通期業績予想を上方修正しているが、同時に予想を引き上げた第2四半期までを反映させた形での修正であり、上振れ期待は根強い。株価は6月高値をピークに調整が続いているが、足元で上値抵抗として意識される25日移動平均線を捉えてきている。

2021年8月27日 記

株探ニュース

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