米国株式市場見通し:FRBの低金利が相場を引き続き支援
FRBは当面低金利政策を維持する見込みで、今後も相場を支援することになるだろう。同時に、アフガニスタン情勢や季節的な利益確定の売りが短期的なリスクとなり、荒い展開が続きそうだ。
FRBのパウエル議長は国内経済が7月会合からさらに回復しているため年内に資産購入縮小を開始することが適切となる可能性に言及した。ただ、資産購入縮小のタイミングやスピードが利上げを直接的に示唆するものではないと強調。最近の高インフレが一時的であるとの見解を繰り返したほか、世界的なディスインフレの傾向に懸念を表明した。さらに、労働市場には依然かなりのスラックがあるとし、利上げは当面先になる可能性も示唆している。また、たとえ、FRBが資産購入規模の縮小を開始したとしても、購入は続く。緩和姿勢は変わらず、市場を引き続き支える材料となりそうだ。
バイデン政権は20年近く駐留していたアフガニスタンから軍を31日に完全撤退させる。市民の退避が間に合わず、期限延長を要請する先進7カ国指導者たちの要求を却下。アフガニスタン内には依然身動きがとれない西側諸国の市民が残っていると報じられている。政権はさらなるテロの可能性を警告しており、撤退日の前後、地政学的リスクは高まると考えられ、投資家心理の悪化には注意したい。ただ、地政学的リスクなどにより相場が下落した水準は、中長期的に良い買い場になる傾向があることは念頭に置きたい。
さらに、FRBの金融政策の鍵を握る8月雇用統計にも注目だ。6月、7月に続き労働市場の強い回復が確認されると、年内に資産購入縮小を開始することが一層確実となる。
経済指標では、7月中古住宅販売仮契約、8月ダラス連銀製造業活動(30日)、6月FHFA住宅価格指数、6月S&P20都市価格指数、8月シカゴPMI、8月コンファレンスボード消費者信頼感指数(31日)、8月ADP雇用統計、8月マークイット製造業PMI、7月建設支出、8月ISM製造業景況指数(9月1日)、新規失業保険申請件数、4-6月期非農業部門労働生産性、7月貿易収支、7月製造業受注(2日)、8月雇用統計、8月ISM非製造業景況指数(3日)、などが予定されている。
企業決算では、ビデオ会議サービスズームビデオ(30日)、カルバンクライン、マイケルコースなどを運営するPVH(31日)、オンラインでペットフードを販売するチューイー、食品会社のキャンベルスープ、会計会社のH&Rブロック(9月1日)、半導体メーカーのブロードコム、電子署名ソリューションのドキュサイン、衣料品メーカーのランズエンド(2日)などが予定されている。
ズームビデオは、経済活動再開も、新型コロナ・デルタ株の流行で、多くの企業が在宅勤務の継続を余技なくされており、引き続き強い需要が期待できそうだ。小売りは強く、PVHの決算にも期待したい。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》