来週の株式相場に向けて=自民党総裁選に向けた政局相場に突入
3日の昼に菅首相が退陣を表明したことで、株式市場は一気に選挙モードに突入した。 この日は特に「2万9000円を回復したことで、その水準に設定されていたオプションの反対売買などが上昇を加速させた」(市場関係者)ともみられている。
日経平均株価はきょうで5日続伸し、この2週間で2000円近く上昇している。利益確定売りで一服して当然の局面だ。ただ、「足もとのトレンドは変わった」(アナリスト)との声は多い。TOPIXは、この日いち早く3月高値を更新し、1991年以来30年ぶりの水準に躍り出た。
海外投資家は、先物ベースでは年初から2兆円強の売り越しとなっており、買い戻しへの余地は大きい。日本株の出遅れ期待感は強いが、政治面での変革期待で海外投資家の投資姿勢に変化が出てくるかが注目される。
当面の焦点は17日公示、29日投開票の自民党総裁選で誰が新総裁に選出されるかだ。岸田文雄前政調会長が出馬を表明し、高市早苗前総務相や石破茂元幹事長も立候補の可能性を探っているが、河野太郎規制改革相も出馬の意向と伝わった。
「いまは新型コロナ対策が急務で、誰が首相になってもやる事は決まっている」(アナリスト)ものの、市場からは河野氏などへの期待が強まる展開も予想され、今後は経済対策などへの期待が高まりそうだ。レーザーテック<6920>や東京エレクトロン<8035>のような値がさハイテク株のほか、ショーボンドホールディングス<1414>やライト工業<1926>のような経済対策絡みの建設株などもマークしたい。
来週は、目立ったイベントは予定されておらず、6日がレーバーデーで米国は休場となる。海外では9日に欧州中央銀行(ECB)理事会が予定されている。国内では、9日に8月工作機械受注が発表される。9日に積水ハウス<1928>が決算発表を行う。来週の日経平均株価の予想レンジは2万8800~2万9400円。(岡里英幸)