昭和産業 Research Memo(2):2022年3月期計画は据え置き。ボーソー油脂、サンエイ糖化が通年で業績に寄与

特集
2021年9月8日 15時42分

■今後の見通し

昭和産業<2004>の2022年3月期の業績は、売上高280,000百万円(前期比9.4%増)、営業利益7,900百万円(同4.0%増)、経常利益9,000百万円(同2.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益6,000百万円とする期首計画を据え置いている。売上高については、2022年3月期の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用することによる影響はあるものの、原料穀物相場上昇による影響や、完全子会社化したボーソー油脂、サンエイ糖化が通年で業績に寄与すること等により増収を見込んでいる。

同社の事業環境は、コロナ禍の影響により不透明な経営環境が続くと見込まれている。また世界に目を向ければ、中国による旺盛な需要に加えて熱波による水不足といった気候変動によって作柄は思わしくないことから、高止まりで推移している原材料価格が引き続き重荷となっている。こうした厳しい環境が予想されることから、同社は原料コスト上昇に見合う販売価格の適正化に向け、注力して行くことになるだろう。なお、同社は2021年7月1日納品分より家庭用小麦粉、プレミックス、パスタの製品価格を改定(約2~4%値上げ)し、大豆たん白製品についても30円/kg以上の値上げを行うと表明。また油脂製品については、2021年3月1日納品分以降4度にわたり合わせて140円/kgの価格改定を発表しており、第1四半期で吸収できなかったコスト増による影響を最小限に抑えるとしている。

緊急事態宣言の延長と対象地域の拡大の影響により顧客企業も苦戦していることにも鑑み、値上げ浸透には時間を要すると弊社では考えている。しかし、同社は管理体制の見直しを進めており、対顧客の利益率を確認しつつ商品などを洗い直すなど、顧客とともに改革を進めている。マーケット分析(市場、トレンド情報、仕掛けや仕組み)といった面においては顧客とともに注力しており、効果が表れてきていると言う。こうした社内改革の動きは早期業績回復の一助となるだろう。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

《EY》

提供:フィスコ

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