【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─総裁選に全方位の備え、結果にかかわらず狙える株は?
「総裁選に全方位の備え、結果にかかわらず狙える株は?」
●2つの気掛かり材料、中国恒大と自民党総裁選
投資には思いがけないことは付き物。いつ何があっても、「こういうこともあるよね」と慌てることなく受け止めたいものだが、残念ながらなかなかそんなふうには達観できないのが実際だ。
今回の中国不動産大手の恒大集団の経営破綻懸念にしても、そうだ。前々から過大投資が問題になっていたことは伝わっていたものの、デフォルト(債務不履行)の懸念があるとまでは知らなかったので、驚いたのが正直なところだ。
幸い、恒大集団は23日に支払うべき人民元建ての利息2億3200万元(約39億円)については解決したようなので、ひとまず破綻懸念が後退したのは有り難い。しかし、まだ安心はできない。23日期限のドル建て社債の利息のほか、29日にはまた52億円を支払わねばならない状況にあるからだ。
39億円を払えたのだったら、52億円も、とはならない。そのため、週明けすぐにまた恒大の資金繰りが問題になる恐れがある。最悪、デフォルトもないとはいえないだけに、週の前半は警戒を怠らないようにしたい。
それに実はもう一つ、気掛かり材料がある。自民党の総裁選挙だ。選挙戦がスタートした時点では河野候補有利との見方から、東京市場は歓迎高となった。
しかし、報道メディアによる自民党議員に対する調査では、岸田候補支持が最も多いとのこと。最終的には自民党員たちの票が加わるため、岸田候補が総裁選に勝利するとは限らないが、そうなることも考えておかねばならない。
●米国の日本産食品の輸入規制解除で商機拡大も
その場合、東京市場は急失速してしまう恐れがある。菅首相が総裁選の不出馬を表明して以降、市場が急反発に転じたのは、新政権に対して突破力を期待したから――こう見てよい。
岸田候補に突破力がないというのではないが、河野候補にはそれがよりあるように感じられるのだ(あくまで私の印象だが)。しかし、河野候補落選もあり得るとなると、投資する立場としてはそれへの備えも必要で、ここはどちらが勝利しても影響の少なそうな銘柄に投資しておきたい。
具体的には、まずは扶桑化学工業 <4368> になる。この会社はリンゴ酸に強いことで知られる。リンゴ酸なので当然食品向け事業を手掛けているのだが、そこで培ったノウハウを活かして精密産業分野へと事業展開している。その結果、半導体シリコンウエハの研磨剤の原料を製品化しており、いまは同分野の需要が絶好調の状態にある。
米国は9月22日、日本産食品の輸入規制を解除した。東京電力福島第一原子力発電所の事故発生以来続いていた規制。それが解除されたことで、産地の食品メーカーは恩恵を受ける。同時にビジネスが拡大すると見てよいのは物流会社で、3PL(物流一括請け負い)首位の日立物流 <9086> も今後受注が拡大するとみてよく、株価は高値圏ながらなお有望度が高い。なお、同業のSBSホールディングス <2384> も半導体、オフィス関連分野だけでなく食品物流にも強いため、株価も期待が持てる。
食品加工関連企業にも目を向けておくと、日本水産 <1332> がある。水産物だけではなく、食品加工全般に強いため注目だ。
ところで、CARTA HOLDINGS <3688> という社名の会社をご存じだろうか。一度聞いたら忘れない社名ではないだろうか。そんな社名はブランド力を獲得しやすいので私はいつも注目しているが、同社もそんな銘柄の一つになる。どんな会社か。ネット広告専業で、電通の傘下にあるため収益の安定性は高い。
覚えやすい社名となると、Sansan <4443> がある。この会社はビジネスもユニークだ。企業向け名刺管理サービスを展開し、収益を伸ばし続けている。ただ、株価はすでに1万2800円台なので、投資をするなら押し目を待つなど慎重姿勢が求められる。
2021年9月24日 記
株探ニュース