システムサポート Research Memo(1):「ServiceNow」をけん引役に2ケタ増益が続く見通し
■要約
システムサポート<4396>は、業界トップクラスの技術力を強みに、クラウドシステムやERP、データベースの利用支援などのソリューション事業を中心に成長を続ける独立系IT企業である。本社は石川県だが、事業活動の中心は東名阪であり、米国シリコンバレーにも子会社を置いている。ソリューション事業以外では、データセンター運営を中心としたアウトソーシング事業や、クラウド(SaaS型)サービスでの提供が中心となるプロダクト事業など、ストック型ビジネスを展開している。なお、同社は2022年4月から導入される東証の新市場区分において、「プライム市場」を選択申請している。
1. 2021年6月期の業績概要
2021年6月期の連結業績は、売上高で前期比7.9%増の14,431百万円、営業利益で同23.3%増の931百万円と過去最高業績を連続で更新した。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響はほぼ想定した範囲で軽微にとどまった。売上高はソリューション事業やアウトソーシング事業が順調に拡大し、プロダクト事業は2020年6月期に寄与した大型案件が終了したことにより横ばいにとどまった。利益面では、増収効果に加えて高利益率の「ServiceNow」※関連の伸長と在宅勤務の浸透による原価率改善、並びに営業費用など各種経費の抑制が図られたことが増益要因となった。
※業務プロセスの標準化・自動化を行い、従業員・組織の生産性向上を支援するクラウドプラットフォームで、DX化ソリューションとして欧米だけでなく日本でもここ数年で急速に普及し始めている。
2. 2022年6月期業績見通し
2022年6月期は売上高で前期比10.6%増の15,962百万円、営業利益で同16.0%増の1,080百万円と2ケタ増収増益を見込む。コロナ禍が続いているが、企業のDX投資は旺盛で受注面での影響はほとんど見られず、特に業務の生産性向上ツールとして普及拡大が続いている「ServiceNow」関連は高成長が見込まれる。また、ERP関連もSAPのクラウド移行案件を中心に増収が続くほか、前期に一時的要因で伸び悩んだプロダクト事業も、契約件数の積み上げにより増収が見込まれる。利益面では、営業費用など各種経費をコロナ禍前の水準まで戻すことを前提に予算を組んでいるが、コロナ禍が続くなかでこれらの費用は予算を下回って推移しているもようであり、今後、市場環境に大きな変化がなければ、2022年6月期業績も会社計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。
3. 成長戦略
中長期的な成長戦略として、主力のソリューション事業の安定成長に加えて、アウトソーシング事業やプロダクト事業の成長をさらに加速していくことで、業績拡大及び収益力の向上を目指している。ソリューション事業では高い技術力を有する人材を採用・育成していくことにより、需要が旺盛なクラウドやERP、データベース関連の売上を拡大していく。特に、企業のDX化を実現する「ServiceNow」では、同社はパートナーとして最高位の「Elite Partner」に認定され、認定構築資格取得数も国内で第2位とトップクラスにあり、今後も人材育成を強化しながら積極的に売上を伸ばしていく方針だ。利益率も高く全体の収益性向上にも寄与するものと期待される。一方、アウトソーシング事業ではプライベートクラウド構築企業を主要ターゲットに、BCP対策としてのバックアップ用途の需要を取り込んでいく。また、プロダクト事業では業務効率向上に貢献する各種クラウドサービスを自社開発・提供しており、販売代理店の拡充やWebマーケティングの強化により売上成長を目指す。また、プロダクト事業についてはM&Aも成長戦略の1つとして位置付けている。
■Key Points
・Microsoft Azure、AWS、ServiceNow、SAP、Oracle関連の案件を多く手掛けることで成長を続ける独立系IT企業
・2021年6月期はクラウドシステム、ERP関連の受注拡大と原価率改善により会社計画を上回る増収増益を達成
・DX投資拡大を追い風に2022年6月期も2ケタ増益が続く、利益は保守的な印象が強い
・すべての事業セグメントが成長、特にServiceNow関連は高成長が続く見通し
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《AS》