岸田氏が総裁選に勝利、市場関係者はこう見る
菅首相の後継を決める自民党総裁選の投開票が、きょう午後東京都内のホテルで行われ決選投票を経て岸田文雄・前政調会長が勝利し新総裁に選出された。得票数は岸田氏が257票(国会議員票249・都道府県連票8)、河野規制改革相が170票(国会議員票131・都道府県連票39)だった。
松井証券 シニアマーケットアナリスト 窪田朋一郎氏の話
「党員票では河野氏が44%を押さえたが、国会議員票を合わせた1回目の投票の段階で予想に反し、1票差ながら岸田氏が河野氏を上回り1位となった。この時点で決選投票でも岸田氏の勝利が濃厚となった。この瞬間株式市場はいったん下げ幅を広げた。岸田氏は財政健全化を重視する政策スタンスで、株式市場にとっては改めて歓迎するムードは起こりにくい。
株式市場では一時国民支持率の高さから河野氏の勝利を織り込み、再生可能エネルギー関連などを買い進む動きが見られたが、これらの銘柄はいったん調整局面に入る可能性がある。一方、河野氏が掲げていた原発廃止に向けた思惑は後退し、これは電力株などには安心材料となろう。
もっとも、現在のマーケットは米国の長期金利の動向に一喜一憂する展開にあり、日本の新首相が誰になるかということは、既に海外投資家にとってそれほど重要視される要素とはなっていない状況にある。当面は米国のインフレ懸念が重荷となり、日経平均は下値リスクが高まりそうだ。下値メドとしては200日移動平均線が位置する2万8600円どころが意識される。また、戻り局面に入っても上値は3万円台には届かないとみている」