クロスマーケ Research Memo(6):収益基盤がレベルアップし大幅増益

特集
2021年10月4日 15時16分

■業績動向

1. 2021年6月期の業績動向

クロス・マーケティンググループ<3675>の2021年6月期の業績は、売上高10,758百万円、営業利益1,007百万円、経常利益1,048百万円、親会社株主に帰属する当期純利益540百万円となった。2021年6月期は6カ月の変則決算のため、同時期となる2020年12月期第2四半期(1月~6月)と比較すると、売上高で39.7%増、営業利益と経常利益が6倍前後、親会社株主に帰属する当期純利益で17倍といずれも大幅増加となった。なお、売上高で258百万円、営業利益で160百万円、経常利益で136百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で46百万円、計画に対して超過達成したが、要因は既存主要子会社の堅調な推移、新規連結開始したドゥ・ハウス社の業績寄与とKadenceの組織改革が順調に進んだため収益改善(黒字化)が想定よりも早くなったことによる。

国内経済は、2021年6月期に入っても、新型コロナウイルス感染症の猛威が依然として収束しておらず、断続的な緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の適用により経済活動が制限され、景気は不安定な状態が続いている。世界経済も、アジアの主要都市の一部で断続的に都市封鎖措置が取られ、新型コロナワクチンの接種が進んだ先進国で感染が再拡大するなど、国内同様不安定な状態が続いている。このような経営環境下でも、同社は持続的な成長の実現へ向けてDXを推進しており、収益基盤が着実に強化されている。加えてドゥ・ハウスの連結子会社化や、第1回緊急事態宣言の発令時(2020年4月~5月)に大きく落ち込んだ反動などから、売上高は急回復となった。利益面では、販促費は増加したが、増収効果、固定費の削減、外注比率の抑制、ドゥ・ハウスの連結効果、コロナ禍によるオンラインサービスの構成比上昇によるミックス改善などにより大幅増益となった。

施策効果に反動増が加わり各事業とも大幅増益

2. 2021年6月期のセグメント別業績動向

2021年6月期のセグメント別業績は、デジタルマーケティング事業が売上高4,353百万円、営業利益363百万円、データマーケティング事業が売上高3,704百万円、営業利益1,056百万円、インサイト事業が売上高2,700百万円、営業利益422百万円となった。前年同期(2020年12月期第2四半期)と比較すると、どの事業も大幅な増収増益となった。

デジタルマーケティング事業では、システム受託開発の(株)クロス・コミュニケーション、IT人材サービスの(株)Fittio、データ加工・処理の(株)クロス・プロップワークスで既存顧客に加えて新規顧客の受注も順調に進み、売上高・利益ともに堅調に推移した。また、デジタルプロモーション/マーケティングのディーアンドエムも、デジタルシフトの加速を背景に受注・売上がともに好調に推移した。2021年6月期第1四半期に連結したドゥ・ハウスは引き続き業績が堅調で、セグメント業績の拡大に大きく貢献した。データマーケティング事業は、主軸のクロス・マーケティングとアメリカやインドにおけるデータ収集などのサービスが、新型コロナウイルス感染症の影響もあってオンラインサービス中心に底堅く推移、また、Kadence(米国)において大型案件を計上することができたため、売上高は堅調に推移した。利益面では、アウトソーシング拠点の活用などにより販売面や作業面で生産性が向上して収益性が大きく改善した。インサイト事業は、国内外で顧客獲得を推進するとともに、ネット系サービスへの切り替えや生産性向上を進めた結果、収益性が大きく改善した。なお、海外拠点に関しては、各拠点とも新型コロナウイルス感染症の影響を受けて売上高は伸び悩んだものの、オンラインサービスの強化やオフィスの移転・縮小といった固定費の削減などにより、受注状況やセグメント利益については回復が進んでいる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《ST》

提供:フィスコ

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