ココナラ Research Memo(1):マッチング型プラットフォーム「ココナラ」の高成長続く

特集
2021年10月8日 16時01分

■要約

ココナラ<4176>は2012年の設立で、個人の知識・スキルをオンラインで売買するマッチング型プラットフォーム「ココナラ」のサービスを提供している。当初は「占い」を中心とした相談・プライベート系が中心であったが、ここ2~3年で制作・ビジネス系カテゴリ(デザイン、Webサイト制作等)の強化を図り、フリーランスや副業の需要を取り込んできたことで流通高が大きく成長、CtoCのマッチング型プラットフォームとして圧倒的なポジションを確立している。2021年3月に東証マザーズ市場に上場した。

1. ビジネスモデルと強み

「ココナラ」で提供するサービスは、制作・ビジネス系から相談・プライベート系に至るまで多岐に広がっており、個人が知識・スキル等を「ココナラ」に出品し、購入を希望する個人/法人が出品者と同プラットフォーム上でやり取りをして購入する。販売額の25%※を同社が手数料として受け取り、これが営業収益となる。変動費は相対的に少なく限界利益率の高いビジネスモデルとなっているのが特徴だ。会員数は2021年8月期第3四半期末で227万人と、この2年間で約2倍に急成長している。購入UU(ユーザー)数や1人当たり購入額についても制作・ビジネス系の拡大により上昇傾向が続いている。強みは、サービスの品揃えが豊富であること、サービスに対するレビューが付くので購入者側は客観的なレビューを参考にして購入できるため安心感があること、トラブル対策や不適切出品の監視などプラットフォームの安全性・信頼性を維持向上するための体制を強化していることなどが挙げられる。なお、そのほかのサービスとして「ココナラ法律相談」などを展開しているが、まだ規模は小さい。

※従来は出品者から25%程度を徴収していたが、2021年4月12日から出品者20%、購入者5%の手数料に変更した。なお、電話相談サービスに関しては手数料率が50%となっている。

2. 業績動向

2021年8月期第3四半期累計業績は、営業収益で前年同期比61.8%増の1,977百万円、営業利益で同38.2%増の175百万円と増収増益となった。「ココナラ」の会員数が順調に拡大しており、流通高も前年同期比58.5%増の6,932百万円と大きく伸長した。特に、制作・ビジネス系については同80.2%増の4,090百万円と高成長が続いている。新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)で在宅勤務が増え、副業を始める人が増加したことや、購入側でもリモートワークや業務のオンライン化が進展したことで企業のデザイン・Webサイト制作等の需要が増加し、非対面で迅速かつ低コストでサービスを購入できる「ココナラ」のメリットが認知されてきたことが高成長の要因となっている。2021年8月期の通期業績は営業収益で前期比52.6%増の2,710百万円、営業利益で74百万円(前期は80百万円の損失)としており、2021年3月上場時に発表した計画を2021年7月に修正した。第4四半期に認知度の向上と会員のさらなる獲得を図るためのテレビコマーシャルを中心に広告宣伝費を積み増した影響も反映している。

3. 成長戦略

同社がターゲットとするスキルシェアサービスの2020年の市場規模は、足元は1,000億円、2030年にはサービス市場のEC化率上昇に伴い9,600億円?1.6兆円の規模に拡大しているものと同社では試算している。こうしたなか、同社は将来的に「ココナラ」をサービスにおけるAmazonや楽天市場のように圧倒的な強さを有する総合カテゴリー型のサービスECプラットフォームにすることを目指している。このため、今後は「ココナラ」の機能強化、カテゴリーやマッチング手法の拡充などを進めると同時に、認知度向上のためのプロモーション施策も実施し、会員数1,000万人を目指していく。また品揃えを拡充するため、専門型のサービスECプラットフォームを展開する企業等をM&Aで取り込んでいくことも選択肢の1つとして考えている。2022年8月期は認知度向上と会員数拡大を図るため、3年ぶりに10億円超の広告宣伝費を投下する計画で、営業利益については10数億円規模の損失に転じる見込みだが、テレビコマーシャルなどコントロール可能な広告宣伝費を除いた修正後営業利益では利益を維持する見通しだ。スキルシェアサービス市場の成長はまだ始まったばかりであり、今後も利用ユーザー数や新規カテゴリー数の増加に伴って高成長が続くものと見られ、業界のリード役として同社の今後の活躍が期待される。

■Key Points

・個人の知識・スキル・経験を商品化し、オンライン販売するプラットフォーム「ココナラ」の開発・運営企業

・ユーザーの高いエンゲージメントをベースとしたリカーリング型のビジネスモデル

・圧倒的なサービス出品数とレビュー数により業界随一のECマッチング型プラットフォームに成長

・2021年8月期業績は2021年3月19日上場時に発表した計画に対して営業収益を上方修正、収益の上振れ分はプロモーション費用に充当

・潜在市場規模は2030年で1.6兆円、サービスECプラットフォームのAmazonを目指し、成長投資を継続していく方針

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《EY》

提供:フィスコ

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