【村瀬智一が斬る!深層マーケット】衆議院解散で改めて政策期待が高まる公算も
「衆議院解散で改めて政策期待が高まる公算も」
●出遅れ感の強いテーマ性ある中小型に注目
今週の日経平均株価は前週からの下落基調が続き、10月6日には一時2万7293円まで下落した。米債務上限問題に加え、中国の不動産市場を巡って信用不安が高まるなか、下げが加速。オプションSQ週だったこともあり、急落に対するヘッジ対応の動きなど先物主導での下落となった。
だが、7日はこれまでの大幅下落に対するリターンリバーサルの流れから、ハイテク株を筆頭に売り込まれていた銘柄のリバウンドが目立ち、日経平均は9営業日ぶりに反発。週末8日も、米議会上院の与野党が債務上限を12月初旬まで引き上げることで合意したことが材料視されて続伸となった。もっとも、日経平均は8営業日続落で2700円超下落しており、週後半のリバウンドについても自律反発の域は脱していない。
日経平均は9月下旬からの下落によって、政策期待が高まった8月下旬からの上昇部分を完全に帳消しにしたが、週後半の動きを見ると、急落による需給調整は一巡したとみられる。中国の不動産市場のデフォルト警戒から上値を積極的に買い上がる動きは期待しづらいものの、14日の衆議院解散によって改めて政策期待が高まる可能性も期待され、下値を売り込む流れは限られそうだ。
とはいえ、直近の急落で少なからず需給状況は悪化している。このため、需給調整が相対的に進捗している可能性が高く、出遅れ感の強い銘柄などのリバウンド狙いが有効と考え、今回はなかでもテーマ性のある中小型株に注目した。
●来週の活躍期待「注目5銘柄」
◆WACUL <4173> [東証M]
アクセス解析ツール「Google Analytics(グーグルアナリティクス)」のデータを基に、自動でWebサイトを分析し改善提案まで届ける、人工知能を活用したデジタルマーケティングツールである「AIアナリスト」サービスを提供。独自に収集した大量のデータにより、成功確率の高い施策を抽出する。DX(デジタルトランスフォーメーション)機運の高まりを受けて、「DXコンサルティング」サービスは順調に推移。コロナ禍において企業経営は複雑化しており、DXを活用したビジネス展開は必要不可欠であろう。株価は2月の上場時につけた4780円を高値に調整トレンドが継続し、足元で上場来安値を更新。2000円割れで値頃感も意識されやすく、リバウンド狙いのスタンスで臨みたい。
◆ファブリカコミュニケーションズ <4193> [JQ]
中古車ビジネスの総合プラットフォーム「symphony(シンフォニー)」を中核に、企業のシステムやPCから SMSを自在に配信することが可能なSMSソリューション事業などを手掛けている。メディアSMS導入社数は順調に増加傾向にあり、第2四半期時点で3000社を超え、「symphony」の導入社数も3000社を超える。新たな生活様式の広がりに伴って自動車需要が高まるなか、 半導体不足の影響で新車生産は制約を受けており、中古車に対する引き合いは強い。株価は7月19日につけた5240円をピークに調整が続いており、足元で5月につけた安値の2445円(分割考慮)に接近。底入れからのリバウンドに期待したい。
◆フリークアウト・ホールディングス <6094> [東証M]
広告主の効果を最大限にする、RTB(リアルタイム入札)を使ったDSP(デマンドサイドプラットフォーム)広告を中核に、デジタルサイネージの開発、アプリ特化型コンテンツ支援、ベンチャーファンドの運営などを手掛ける。9月にはスカパーJSATホールディングス <9412> とコネクテッドTV(CTV)領域で協業を開始しており、視聴者の特性に応じた「アドレッサブル広告」において、動画広告などの需要が期待される。株価は8月24日につけた2426円をピークに調整トレンドが続くが、足元では1800円水準に位置する75日移動平均線で下げ渋る動きをみせている。
◆Enjin<7370> [東証M]
中小・中堅企業、医療機関向けにPR支援サービスを提供している。クライアント企業の社会的影響力を高めるため、テレビやWeb・紙メディアなどを用いたメディア露出の実現を図る。新型コロナウイルス感染症の影響下においても、顧客数は2020年5月期の1275社から21年5月期には1659社に順調に増加。経済活動が正常化に向かうなか、認知度向上や競争力強化などに向けた企業の需要の高まりが引き続き期待されよう。株価は9月1日につけた5220円をピークに調整を続けているが、3500円水準で下げ渋る動きである。
◆オプティマスグループ <9268> [東証2]
ニュージーランドを主要市場に中古自動車の輸出のほか、アフターサービスや自動車ローン事業などのサービスを手掛ける。ニュージーランドの既存事業を起点に、インドネシアやオーストラリアなどに事業拠点を拡大。世界的な半導体不足が新車の生産に影響を及ぼすなか、中古車需要が高まっており、同社はニュージーランド、オーストラリアでの安定的な成長を見込んでいる。株価は8月18日につけた2925円をピークに調整をみせているものの、2000~2600円水準での保ち合いを形成。レンジ下限レベルへの到達でリバウンド狙いのタイミングか。
2021年10月8日 記
株探ニュース