【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─株価急落を演出した懸念材料はいずれも後退、この局面で狙うべきは?!
「株価急落を演出した懸念材料はいずれも後退、この局面で狙うべきは?!」
●8日続落の激震ショックは残るが…
まだ日経平均株価が8日続落したショックが去らない。12年ぶりに体験させられた続落の日々。私は当初、岸田政権に対する機関投資家たちの失望感によるものと見ていたのだが、これは正直、勘違いだった。
下落要因を改めて振り返っておくと、以下の通りとなる。
(1)中国不動産大手・恒大集団の破綻懸念が再浮上
(2)米国債務上限の引き上げ問題
(3)原油先物価格の急上昇
(4)11月のテーパリング実施を想定、米長期債(10年債)利回りが一時1.56%まで上昇
これらが大きかったことになる。しかし、幸いなことに目下のところ、これら(1)~(4)のすべての項目で影響は薄らいでいる。
株価に織り込まれたことによるものと見てよいが、(2)の米国の債務上限引き上げ問題は解決したわけではなく、12月まで議会での議論を棚上げしただけにすぎない。12月になるとまた議会の政争の具となる恐れがあり、市場の攪乱要因に戻ってしまうことはあり得る。
ただ、米国の債務上限引き上げ問題は、過去幾度も与野党の政争の具となっており、そのたびに上限が引き上げられてきた。私がはっきり記憶しているのは、10年前の2011年8月に米債務の上限引き上げ問題がマーケットに与えた影響だ。米国がデフォルトに陥る恐れがあると警戒されて、世界の金融市場は大混乱に陥り、東京市場も下げた。
今回は当時とは異なる状況にあるとはいうものの、米国一の金融通として知られるイエレン財務長官が「このままでは米国は破綻する」と警告を発しただけに、リアリティがあった。
しかし、幸いなことに、前述したように債務上限引き上げ問題は12月まで棚上げされる。その先には与野党合意による上限引き上げが予想される。でなければ、米国経済のコロナ禍からのテイク・オフ(離陸)は不可能だからだ。
●全般市場に連動して売り込まれた銘柄を拾う
以上を踏まえると、この局面での投資は上述した4項目のネガティブ材料で大きく売り込まれた銘柄、それも米債務上限引き上げ問題やチャイナリスクとの関連性の低い銘柄への投資を優先したい。
具体的には、まずは野村総合研究所 <4307> だ。野村証券系のコンサルタント会社。システム開発・運用にも強いため、市場急変への対応力にも優れている。
理美容器機や業務用化粧品に強いビューティガレージ <3180> も、株価が底値圏の現在水準で拾っておきたい。「緊急事態宣言」が解除されたことで人流は確実に拡大する。当然、女性たち、いや男性たちもこれまでよりは理美容院に通うようになる。
芸能人たちのファンサイト運営や電子チケット販売に強いエムアップホールディングス <3661> も注目される。今後、全国各地でのイベントが集客増となることを背景に、芸能人たちもファンサイト運営に力を入れるようになると見てよく、株価も期待が持てる。
ITシステムのコンサルやシステム設計、構築で高い技術力を持ち、DX(デジタルトランスフォーメーション)関連のテーマにも乗るULSグループ <3798> [JQ]も現在水準なら安全度が高い。
企業からの個人向けショートメッセージ配信代行サービス事業を営むアクリート <4395> [東証M]も、SMS配信は強力な販売ツールとなるだけに、今後も受注増加と株価の浮上が見込める。
健康保険組合の医療データを匿名処理し、企業へ提供するというユニークなビジネスを展開するJMDC <4483> [東証M]も、現在の株価失速局面は拾っておきたい水準だ。
最後に私の大好き銘柄の1つ、ベネフィット・ワン <2412> を。官公庁や企業の福利厚生施設の管理、社員の健康診断ビジネスが好調であるにもかかわらず、株価は売られたため回復する確率は高いと見てよい。
2021年10月8日 記
株探ニュース